癒合歯とは?こどもに癒合歯が生えたときの注意点と対処法を解説!
2023年11月25日(土)
こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。
「癒合歯(ゆごうし)」という言葉をご存じでしょうか。癒合歯は形態異常の一つで、歯が2本以上くっついて生えた状態です。乳歯に認められることが多いですが、稀に永久歯にも見られることがあります。
お子さまの乳歯が少し変わった形で生えてくると「このままにしておいて大丈夫なのかな?」「どんな治療があるの?」など、不安になる方が多いでしょう。癒合歯は、機能自体に問題はありません。
しかし、永久歯への生え変わりの時期に注意が必要になることがあります。今後の歯並びや噛み合わせに影響を及ぼす可能性もあるため、対処法などを知っておくとよいでしょう。
今回は、こどもに癒合歯が生えたときの注意点と対処法を解説します。癒合歯の特徴や生えやすい部分、癒合歯が生える原因やどのような悪影響を及ぼすのかもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
癒合歯とは?
癒合歯とは、本来は1本ずつ別々に生えてくるはずの歯が、隣り合う歯とくっついて(癒合して)生えてくることです。歯の神経もつながっているケースと、神経は別々になっているケースがあります。
ここでは、癒合歯の特徴と、癒合歯が生えやすい部分について確認しましょう。
癒合歯の特徴
癒合歯は乳歯にも永久歯にも見られますが、乳歯のほうが発生する確率が高いとされています。具体的には乳歯は3~4%程度、永久歯は0.3%程度です。
癒合歯はくっついた歯の境目がはっきりしているものもあれば、境目がなく通常の歯よりも少し幅が広く見えるだけのものもあるでしょう。癒合の仕方によって、以下の3つにわけられます。
- 癒合歯
- 癒着歯
- 双生歯
これらは、どこで結合しているのかによって判断されます。それぞれ詳しく確認しましょう。
癒合歯
象牙質がくっついた状態です。エナメル質もくっついていることが多いでしょう。歯の神経まで癒合しているものと、神経は別々のものがあります。
癒着歯
セメント質がくっついた状態です。癒合歯や、後述する双生歯よりもくっつきが弱く、生え変わるときに片方だけ抜けることも稀にあります。
神経や象牙質は露出していないため、痛みを感じることは少ないでしょう。
双生歯
乳歯のもとである歯胚が分離して成長した状態です。神経も共有しているタイプ、神経は別々のタイプ、神経の一部だけ分離しているタイプにわけられます。
癒合歯とは発生の過程が異なりますが、臨床的に鑑別が難しい場合もあります。
癒合歯が生えやすい部分
癒合歯は、乳歯の前歯に発生することが多いです。特に、下の乳中切歯と乳側切歯、下の乳側切歯と乳犬歯、上の乳中切歯と乳側切歯が癒合するケースが多いでしょう。
ただし、奥歯に見られることも稀にあります。癒合歯は、2本が1本の大きな歯のように見えることもあれば、2本の歯に見えても実際はつながっていることもあります。
乳歯で癒合歯が認められた場合、そこに生えてくるはずの永久歯が欠損していることも多いので注意して経過を観察しなければなりません。
癒合歯が生える原因
癒合歯は、乳歯のもととなる歯胚が何らかの原因でくっつくことで起こると考えられています。後天的なものではなく先天的なものとされており、母親のお腹にいるときに起こるといわれていますが、はっきりとした原因は解明されていません。
お母さまの妊娠中の行動などが原因ではないので、過度に気にしないようにしましょう。癒合歯は、ケアをきちんと行うことが大切です。
癒合歯が及ぼす悪影響と注意点
癒合歯があると、どのような影響を及ぼすのでしょうか。基本的に、癒合歯自体に問題はありません。
しかし、癒合歯があることで、以下のような影響を及ぼす可能性があります。
- 虫歯になりやすい
- スムーズに生え変わらない可能性がある
- 歯並びが悪くなる可能性がある
- 永久歯が少ない場合がある
これらの問題を放置することで、さまざまなリスクを引き起こす恐れがあるのです。それぞれ詳しく確認しましょう。
虫歯になりやすい
歯と歯がくっついている境目の部分は溝になっています。溝に汚れ(プラーク)がたまりやすいため、注意が必要です。きちんと歯磨きをしてきれいにしなければ、虫歯のリスクが高まるでしょう。
溝が深い場合は、シーラントというプラスチック素材を溝に埋めて予防処置を行うこともあります。日々の歯磨きをしっかり行うとともに、定期的にフッ素を塗布するなどの虫歯予防を行いましょう。
スムーズに生え変わらない可能性がある
歯が生え変わる時期になると、乳歯の根っこの部分が溶けて徐々にグラグラと揺れます。そして乳歯が抜け、永久歯が生えてくるのが通常の生え変わりの流れです。
一方、癒合歯の場合は、生え替わりの過程がうまくいかないことがあります。歯がくっついているため自然に抜けるのが難しいケースがあるのです。
状況によっては抜歯をすることもあります。生え変わりの時期は特に注意し、歯科医院で定期検診を受けるようにしましょう。
歯並びが悪くなる可能性がある
癒合歯は2本の歯がくっついた状態ですが、大きさは2本分ではなく、通常の歯のおよそ1.5本分のサイズしかないことが多いです。そのため、癒合歯が抜けて生まれるスペースには、永久歯が2本並べないことが多いでしょう。足りないスペースに無理に永久歯が生えてくるので、歯並びが悪くなる可能性があります。
永久歯が少ない場合がある
乳歯の癒合歯の場合、これから生えてくるはずの永久歯の数が少ないことがあります。永久歯が少ないと、歯と歯の間にすき間があるすきっ歯になるでしょう。また、左右で本数が異なるため、噛み合わせのバランスも悪くなります。
5~6歳頃になれば、レントゲン撮影によってこれから生えてくる永久歯の有無を確認できます。将来的に矯正治療が必要になるケースもあるため、早めに状況を知っておくとよいでしょう。
こどもに癒合歯が生えてきたらどうしたらよい?
お子さまに癒合歯が生えてきたら、どのような対処や治療が必要なのでしょうか。一般的に、癒合歯そのものに対して何か処置をすることはありません。くっついている歯を切り離す、抜歯するなどの必要はないのです。
ただし、先述したように癒合歯は虫歯のリスクがあります。フッ素の塗布や、歯の境目の溝を埋めるシーラントなど、虫歯を予防するための治療を受けるとよいでしょう。
また、歯の形態異常である癒合歯は、歯の神経も癒合している場合があります。そのため、虫歯によって神経の治療が必要になると、治療が難しくなる可能性があるでしょう。
永久歯が足りない場合は、歯を補う治療や矯正治療も視野に入れなければなりません。乳歯の段階で急いで治療を行う必要はありませんが、5~6歳頃の生え変わりの時期に一度永久歯の状態を確認しておくとよいでしょう。
歯並びや噛み合わせに起こり得るリスクをチェックし、今後の経過を観察することができます。どのように対処する場合でも、お子さまに癒合歯が生えてきたら日々の歯磨きをしっかりと行うことが重要です。定期的に歯科医院で検診を受けて、状態を確認してもらいましょう。
まとめ
今回は、癒合歯について解説しました。基本的には、癒合歯自体に問題はありません。何か特別な治療が必要になることもないでしょう。
しかし、癒合歯があることで虫歯のリスクが高まる、今後の歯並びや噛み合わせに影響を及ぼす可能性はあります。また、癒合歯は永久歯が足りないケースが多く、将来的に治療が必要になることがあるでしょう。
癒合歯について知っておくことで、起こり得るリスクや今後の対処法などを知ることができます。お子さまに癒合歯がある場合、虫歯に気をつけながら定期的に歯科医院を受診して観察を続けることが重要です。
癒合歯を見つけた場合には、早めに歯科医院に相談するとよいでしょう。
こどもの癒合歯にお悩みの方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。