床矯正とは?特徴やメリット、デメリットについて詳しく解説!
2024年05月18日(土)
こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。
子どもの歯並びを整える方法のひとつに床矯正があります。床矯正とはどのような治療法でどんな特徴があるのか、矯正治療を検討している保護者の方は気になるのではないでしょうか。
本記事では、床矯正の特徴やメリット・デメリットを解説します。床矯正に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
床矯正とは?
床矯正とは、レジンで作られた床とワイヤーで構成されている取り外し式の矯正装置です。子どもの骨の成長を利用して歯の傾斜を整えたり、あごの骨を拡大して歯が並ぶスペースを確保したりする治療法です。
床矯正で歯が並ぶ十分なスペースが確保できれば、歯が正しい位置に萌出する可能性が高くなり、整った歯並びになることが期待できるでしょう。装着時間は1日8〜10時間なので、日中数時間と就寝時に装着する場合が多いです。
床矯正は歯を並べるスペースを確保する装置なので、歯並びの細かい修正や歯の根から大きく移動させる治療はできないことに注意しましょう。床矯正で大まかな歯並びを整えて、微調整をワイヤー矯正やマウスピース矯正でおこなう症例もあります。
床矯正には種類があるため、口の中の状態を確認して適切な装置を選択します。以下に床矯正の種類をご紹介していきます。
拡大床
拡大床は、歯のアーチを広げて歯が並ぶスペースを確保する矯正装置です。上顎の拡大に使用される装置で、プラスチックの装置にネジが付いた構造です。
定期的にネジを回して、側方に歯のアーチを拡大していきます。なお、軽度な歯並びの乱れであれば、拡大床で改善できる可能性があります。
咬合挙上板(バイトプレート)
咬合挙上板は、乳歯と永久歯の生え変わりがおこなわれる時期(混合歯列期)に使用する装置です。上の歯が下の歯を覆い隠すほど噛み合わせが深い、過蓋咬合を治療する際に用いられます。
上の前歯のアーチに沿って、厚いプラスチックのプレートを装着します。下の前歯が早期にプレートに触れることで奥歯が噛み合わなくなるため、奥歯が噛み合う歯を求めて少しずつ伸びてくるでしょう。奥歯の噛み合わせが高くなるので、過蓋咬合の改善が期待できます。
咬合斜面板
咬合斜面板は、過蓋咬合や下顎の成長不足から出っ歯になっているケースで使用されます。上顎にプラスチックの装置を装着し、下顎の位置を前方に誘導させて正常な噛み合わせになるように調整します。
咬合斜面板は、装置のプレート部分が斜めになっていて、下の前歯がプレートに当たることで下顎が前方に誘導される一方、奥歯は噛み合う歯を求めて伸びる仕組みになっています。咬合斜面板も、混合歯列期に使用することで十分な効果が得られるでしょう。
床矯正のメリット
床矯正は取り外し式で日中の装着時間も短いため、検討している方も多いでしょう。床矯正をするメリットは、以下の5つが挙げられます。
- 痛みが少ない
- 食事やブラッシングに支障がない
- お手入れしやすい
- 抜歯せずに歯並びを整えられる
- 治療費が安い
それぞれ解説します。
痛みが少ない
矯正治療での不安のひとつに、痛みをあげる方は非常に多いです。床矯正は、ワイヤー矯正のように強い力はかけずに弱い力でゆっくりと時間をかけて治療していきます。
一般的な矯正治療より、少ない痛みで治療を進めることが可能です。
食事やブラッシングに支障がない
床矯正は取り外し式のため、食事やブラッシングは今までどおり行うことが可能です。固定式の装置の場合、ブラッシングの際に補助清掃用具など使って装置と歯との間に残る食べカスやプラークを除去する必要があります。
口の中を清潔に保つことが難しく、虫歯や歯肉炎になるリスクが高いでしょう。また、装置に慣れるまで食事もとりにくく、食事内容も考える必要があります。
床矯正であれば、食事・ブラッシング中は外すことができるためストレスが少なく、口の中も清潔に保ちやすいでしょう。
お手入れしやすい
床矯正は取り外し式なので外してお手入れができます。目視できるため手入れしやすく、清潔な状態を保ちやすいです。
プラスチック部分にはプラークや細菌が残りやすいので、歯ブラシなど使用してしっかりと洗浄する必要があります。
ただし、お手入れの際に硬いブラシや研磨剤の入った歯磨き粉などを使用するのは避けてください。細かい傷が付いてしまい、破損や細菌が繁殖するリスクが高くなります。
必ず歯科医師に指示されたお手入れ方法で洗浄するようにしましょう。
抜歯せずに歯並びを整えられる
床矯正で歯を並べるスペースを確保できれば、歯列のアーチ上に永久歯が収まる可能性が高くなります。矯正治療で歯並び・噛み合わせを整える際、歯のスペースが不足していると抜歯してスペースを確保することがあります。
健康な歯を抜歯するため、抵抗を感じる方も少なくありません。床矯正を行って歯がアーチ上に並んでいれば、ワイヤー矯正やマウスピース矯正に移行した際に、抜歯が不要になることが多いです。歯の向きを整える程度の矯正治療で完了することが可能です。
治療費が安い
床矯正は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正と比較して費用が安いです。床矯正の費用は10〜40万円が相場といわれています。
また、床矯正だけでは歯並びが整わなかったケースでは、ワイヤー矯正・マウスピース矯正に移行します。床矯正をおこなっていると、ある程度は歯並びが整っている可能性が高いです。
そのため、大きく歯を移動させる必要がなく、早く治療が完了するケースが多いでしょう。治療期間が短くなれば、その分調整料などの費用を抑えることが可能です。
床矯正のデメリット
床矯正には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。選択する際には、デメリットも理解する必要があるでしょう。
床矯正のデメリットは、以下の3つです。
- 自己管理が必要
- 発音に支障が出る
- 後戻りのリスクがある
それぞれ解説します。
自己管理が必要
床矯正は取り外し式なので、自己管理が必要になります。1日8時間以上の装着を指示されるケースが多いでしょう。治療計画どおりに進めるためには、装着時間をしっかり守る必要があります。
装着時間が守れない日が続くと、治療期間が延びたり床矯正の効果を得られにくくなったりするでしょう。子どもひとりで管理することは難しいため、声をかけてあげるなど、保護者の方もサポートする必要があります。
発音に支障がでる
床矯正は入れ歯のような形態をしているため、慣れるまでの間は違和感を覚えたり、発音に支障をきたしたりする可能性が高いです。違和感や発音の問題に関しては、使用し続けることで少しずつ解消されます。
子どもは適応能力が高いため、1〜2週間ほどで慣れるケースが多いです。
しかし、慣れるまでの間に、装置に抵抗を示す子どもも少なくありません。使用を続けられるように、保護者の方がしっかりとサポートしてあげましょう。
後戻りのリスクがある
すべての矯正治療でいえることですが、矯正治療後にしっかりと管理ができていないと歯は後戻りします。床矯正で歯並び・噛み合わせが整ったとしても、舌癖などの悪習癖があると歯並びが乱れてしまう可能性が高いです。
矯正治療中に悪習癖は治すように心がけて、治療完了後はリテーナーを装着して後戻りを防ぐ必要があります。
床矯正は何歳から?
床矯正を開始する年齢は、永久歯に生え変わる6〜8歳ごろといわれています。永久歯が生えそろう10歳前後までに開始すると、十分な効果を得やすいでしょう。
床矯正は、成長期の発育を利用してあごの骨を広げる治療です。そのため、適切な時期を過ぎてしまうと十分な効果を得ることができません。
子どもの成長は個人差が大きいため、一人ひとり治療を開始するベストな時期は異なります。床矯正を検討している場合は、早めに歯科医院を受診して適切な時期であるのか確認してもらいましょう。
まとめ
床矯正は、あごの骨の成長をコントロールしながら歯並びを改善していく治療法です。成長に合わせて治療ができるため、痛みが少ないなどメリットの多い治療法といえます。
また、床矯正だけでは歯並びが改善されなかった場合は一般的な矯正治療に移行しますが、歯並びの微調整だけで完了する可能性が高いです。床矯正の適応年齢は5〜12歳前後といわれています。
床矯正は成長期の発育を利用した治療法なので、治療効果を得られる時期が限られている点に注意しましょう。発育には個人差があるため適切な時期は一人ひとり異なります。定期的に歯科医院を受診して、開始時期を見極めることが重要です。
床矯正を検討している方は、早めに歯科医院を受診して適切な時期なのか確認してもらってください。
床矯正を検討されている方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。