全身の健康と歯周病の切っても切れない関係
2021年03月31日(水)
皆さんこんにちは。
八王子駅の歯医者「相沢歯科」 です。
最近、「歯周病が全身疾患を引き起こす」というのをよく耳にします。
歯周病はお口の病気なのに、これは一体どういうことなのでしょう?
動脈硬化は、心筋に血液を送る血管が狭くなったり、ふさがってしまったりすることで、心筋に血液供給ができなくなる病気です。
これまで不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因とされていましたが、歯周病菌などの細菌感染も要因となることがわかってきました。
歯周病菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て、血管内にプラークができ、血液の通り道は細くなります。
プラークが剥がれて血の塊ができると、その塊によって血管が詰まってしまうのです。
また、同じ仕組みで脳の血管が詰まってしまうことにより、脳梗塞になります。
歯周病の人はそうでない人の約3倍脳梗塞になりやすいと言われています。
このため、血圧、コレステロール、中性脂肪が高めの方は、歯周病の予防や治療がより重要となってきます。
超高齢化社会のなか、日本人の死因のうち、2011年からは肺炎が急浮上しています。
高齢者の肺炎の多くは、誤嚥性肺炎だといわれています。
誤嚥とは、口の中の唾液や飲食物、痰などが食道ではなく気管に入り込んでしまうことで、誤嚥で肺に入り込んだ細菌によって引き起こされるのが誤嚥性肺炎です。
その原因菌の中には、歯周病菌も数多く検出されています。
気管は吸い込んだ空気の通り道で、もしそこに食べ物などが侵入しても、喉の奥の気道と食道の分岐点でブロックされることで、唾液や食べ物などが気管に侵入するのを防ぎます。
ところが、病気や高齢化でこのブロックする機能が衰えると誤嚥を引き起こしてしまうのです。
妊娠すると、歯周病にかかりやすくなるといわれています。
これは、エストロゲンという女性ホルモンが歯周病菌の増殖を促すことや、歯ぐきの細胞がエストロゲンの標的となるためです。
また、プロゲステロンというホルモンが、炎症の元であるプロスタグランジンを刺激します。
これらのホルモンは妊娠後期に増加するため、この時期に妊娠性歯肉炎が起こりやすくなります。
ほかにも、妊娠に歯周病にかかると、低体重児や早産の危険度が高くなることが指摘されています。
これはお口の中の歯周病菌が血中に入り、胎盤を通して胎児に直接感染するのではないかといわれています。
さらに、ごくまれに「妊娠性エプーリス」という良性腫瘍ができる場合もあります。
このように、歯周病はお口の健康だけでなく、全身の恐ろしい病気にも関わってくるのです。
歯周病を治療・予防することは全身の健康にも繋がりますので、しっかりケアしていきましょう。