乳歯の歯並びが悪いことによるリスク!治療すべき歯並びと治療法!
2023年08月14日(月)
こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。
乳歯の歯並びについて「乳歯の歯並びが悪くなる原因は?」「乳歯の歯並びが悪いとリスクがある?」「乳歯の理想的な歯並びは?」などのお悩みを持つ保護者の方は多いです。お子さまの歯を見て、放置してよいのか判断に悩むこともあるでしょう。
今回は、治療するべき乳歯の歯並びや歯並びが悪くなる原因、歯並びが悪いことによるリスク、治療法などをご紹介します。乳歯の歯並びについて気になっている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
乳歯の歯並びが悪いとどのようなリスクがある?
乳歯の歯並びが悪くても、永久歯に生え変わるときによくなるので放置しても問題ないのではと、思う方もいるでしょう。
しかし、乳歯の歯並びが悪いと、さまざまなリスクが伴います。できるだけ早い段階で改善に取り組むことが大切です。
乳歯の歯並びが悪いと生じるリスクは、以下のとおりです。
永久歯の歯並びが悪くなる
乳歯の歯並びが悪い状態を放置すると、永久歯の歯並びも悪くなるリスクが高まります。
永久歯は、乳歯が生えている位置を頼りに生えてきます。支えになる乳歯の歯並び自体が悪い場合や正しい位置に十分なすき間がない場合、永久歯が正しい位置に生えることができません。斜めに生える、回転する、重なり合って生えるなどのリスクが高まるのです。
虫歯や歯周病の原因になる
乳歯の歯並びが悪いと、虫歯や歯周病の原因になります。重なり合う部分に、磨き残しが多くなるからです。
乳歯は、永久歯に比べるとエナメル質が薄く、虫歯になりやすいです。また、乳歯は永久歯に比べると柔らく、エナメル質は2分の1の厚みしかありません。乳歯が虫歯になった場合、エナメル質が薄いため進行が早いことも特徴です。
歯周病になると、歯茎が腫れて痛みが伴うことがあります。虫歯や歯周病は予防することが重要なので、乳歯の歯並びも改善したほうがよいといえるでしょう。
発音障害の原因になる
乳歯の歯並びが悪いと、発音障害の原因になります。
乳歯が生える時期は、お子さまが言葉を覚える時期でもあります。正しい舌の使い方、口の動かし方を日々の生活のなかで自然に学習しているのです。
歯が正しい位置に生えていなければ、正しく発音できない言葉があります。例えば、サ行やタ行は、舌を上の前歯に当てて発音します。
歯並びが悪いと舌をうまく使えず、正しい発音ができなくなるリスクがあるでしょう。一度間違えて覚えた発音を修正するのは、簡単ではありません。正しく発音できるように、歯並びを改善しましょう。
乳歯の歯並びが悪くなる原因
乳歯の歯並びが悪くなる理由は、大きく分けて遺伝的な要因と外部からの刺激の2つに分かれます。特に歯並びに悪影響を与える原因をまとめました。
舌や指の癖
舌や指の何気ない癖が原因で、歯並びに悪影響を与えることは珍しくありません。以下の癖は、お子さまの歯並びの成長に大きく関係します。
- 指しゃぶりをする
- 頬杖をつく
- 舌で歯を押す
- 爪を噛む
- 口呼吸をする
指しゃぶりや爪を噛む癖、頬杖をつく行為を続けると、少しずつ歯に力がかかって歯を動かします。上記の癖が長期間続くと、開咬や上顎前突、ガタガタした歯並びの原因になるでしょう。
食習慣
柔らかいものばかり食べる食習慣が原因で、顎の発達が十分にできずに歯並びが悪くなることがあります。
硬いものをしっかりと咀嚼することによって、顎の骨は成長します。プリンやゼリー、うどんなど、お子さまが好むことが多いメニューは、噛まなくても飲み込めるものが少なくありません。せんべいや、野菜、お肉など、しっかりと噛まないと飲み込めないものを好まないお子さまが増加しています。
噛めなくても飲み込めるものばかり食べていると、顎が十分に成長できません。乳歯や永久歯が並ぶスペースが足りなくなるでしょう。
遺伝
顎の形や歯並びは、遺伝が大きく影響します。どんなに癖や食習慣に気をつけても、遺伝で歯並びが悪くなることがあるのです。
特に、親が顎の骨の形が原因で上顎前突の場合や反対咬合の場合、こどもに遺伝する可能性があるでしょう。
治療すべき乳歯の歯並びとは
乳歯から永久歯へと生え変わる混合歯列期に近づくと、乳歯と乳歯の間にすき間が生じます。
「すきっ歯だ」と慌てる必要はありません。後述する正中離開とは異なり、顎の成長に伴った正常なすき間です。
永久歯は乳歯に比べてサイズが大きいので、顎が成長して永久歯が生えるための十分なスペースを確保する際に、すき間が生まれるのです。適切なすき間があることで、永久歯がきれいに並びます。
しかし、治療すべき乳歯の歯並びもあります。早期に発見することで、早い段階から治療を開始できるでしょう。お子さまへの負担を減らすことができ、治療費も抑えられます。
治療すべき乳歯の歯並びは、以下のとおりです。
反対咬合
反対咬合(はんたいこうごう)とは、上の歯と下の歯の噛み合わせが逆になった状態を指します。奥歯を噛み合わせたときに、上の歯が下の歯を覆うのが正常な状態です。
しかし、反対咬合の場合、下の歯が上の歯に被るように噛み合います。骨格や歯の遺伝が大きく関係するといわれています。下の顎を前に突き出すような癖があると、反対咬合になりやすいでしょう。
開咬
開咬(かいこう)とは、奥歯を噛み合わせたときに上下の前歯にすき間ができる状態です。指しゃぶりや口呼吸、舌を出す癖などがあると、開咬になるリスクが高まります。
日常生活に支障がないように感じる方が多いですが、奥歯に過度な負担がかかります。40代を過ぎた頃に奥歯をなくす方や顎関節に問題を抱える方が多いです。
上顎前突
上顎前突(じょうがくぜんとつ)とは、奥歯を噛み合わせたときに前歯が異常に飛び出した状態です。指しゃぶりが原因で、上顎前突になることがあります。
上顎前突の症状が悪化すると、顎の成長や永久歯の歯並びに影響が出るでしょう。
正中離開
正中離開(せいちゅうりかい)とは、上の前歯が離れている状態のことです。上唇と歯茎にある上唇小帯という突起が歯の根元まで出ていることや過剰歯が原因の場合が多いです。
こどもは上唇小帯が歯茎まで出ている傾向にありますが、成長に伴って徐々に小さくなります。
しかし、上唇小帯が大きすぎる場合、うまく小さくならなかった場合、正中にスペースができて正中離開を引き起こします。2mm程のすき間は、正常な範囲です。
すき間が大きすぎると、処置が必要です。過剰歯がある場合は、抜歯が必要になるでしょう。心配な場合は、歯科医院を受診して相談してください。
切端咬合
切端咬合(せったんこうごう)とは、奥歯を噛み合わせた状態で、上下の歯の切端が噛み合う状態です。骨格の問題や噛み癖、舌の位置、口呼吸などが原因で、切端咬合になる場合があります。
切端咬合では、前歯がすり減る、前歯に負担がかかるなどのリスクが高くなります。食事を上手に飲み込めなくなったり発音障害を引き起こしたりする場合もあるでしょう。
顎変位
顎変位(がくへんい)とは、奥歯を噛み合わせたときに正中がずれる状態です。片方の顎に負担がかかると、額変位になるリスクが高くなります。
- 頬杖をつく
- 常に横向きに寝る
上記の癖がある方は、額変位になるリスクが高いです。症状が軽い場合、癖を改善することで症状が軽減されるかもしれません。
叢生
叢生(そうせい)とは、ガタガタした歯並びのことです。顎の成長が十分でないと歯が並ぶスペースが足りないため、重なり合って歯が生えることがあります。
乳歯が叢生の場合、永久歯も叢生になる可能性が高くなります。ガタガタした歯並びの場合、磨き残しが多くなるため、虫歯や歯周病になりやすいです。
乳歯の歯並びの治療法とは
乳歯の歯並びの異常を早期に発見し、適切な治療をすることで、永久歯への影響が少なくなるでしょう。
乳歯の歯並びそのものを治療するのではなく、顎や口腔機能の成長を促す場合が多いです。成長段階にある口腔内にアプローチすることで、健康的な噛み合わせへと導くことが目的です。
ここでは、乳歯の歯並びの治療法をご紹介します。
口腔機能を鍛えるトレーニング
専用の器具を使う、舌や唇を動かす練習をするなど、口腔機能を鍛えるトレーニングを行います。1日に10分ほど、自宅でトレーニングをしなければなりません。
歯科医師や歯科衛生士が指導にあたりますが、自宅でのトレーニングは保護者の方が見てあげてください。
床矯正
床矯正では、顎の成長を促進する専用の器具を装着し、顎の成長を促します。特に、顎の成長が十分でない場合に効果的です。
床矯正を行って顎の成長を促すことで、永久歯が生えるスペースを確保できるでしょう。顎の成長を適切にコントロールするので、成人後に顎の問題を抱えるリスクが減ります。
乳歯の歯並びが悪くならないための予防法
乳歯の歯並びには、癖や生活習慣が関係していることも少なくありません。歯並びが悪くならないように日常生活を送りましょう。
乳歯の歯並びが悪くならないためにできる対策をご紹介します。
指しゃぶりや口呼吸などの癖を改善する
指しゃぶりや口呼吸、頬杖をつく、下顎を突き出すなど、歯並びが悪くなる癖がある場合、できるだけ早く改善しましょう。
しかし、無理にやめさせることは避けてください。指しゃぶりは心理的な問題から行う場合があり、口呼吸は鼻が詰まっていることが原因であることも珍しくありません。
無理にやめさせるのではなく、癖になっている理由を一緒に探してあげましょう。癖を行っている場合は別のことに気を向けさせて頻度を減らすなど、少しずつ改善しましょう。
硬いものをよく噛んで食べる習慣をつける
お子さまの成長に合わせて、硬いものをよく噛んで食べる習慣をつけましょう。スルメやせんべい、果物など、よく噛んで食べる必要のあるものをおやつに与えることが効果的です。
顎を積極的に使うことで顎の成長が促されます。よく噛んで食べると唾液も分泌され、虫歯予防効果にもつながるでしょう。
定期検診を受ける
定期検診を受けると、顎の成長や歯並びなどの問題に早期に気づけます。早い段階からアプローチすることで、永久歯に深刻な影響が出る前に改善できるでしょう。
簡単なトレーニングや、癖を改善するなど、簡単な対策で問題が解決することもあります。
まとめ
乳歯の歯並びが悪いと、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。発音障害を引き起こす可能性もあるでしょう。永久歯の生え方に深刻な影響が出る可能性も少なくありません。
乳歯の歯並びへの対策として、頬杖をつく、指をしゃぶる、舌の癖を改善することが大切です。また、できるだけ早く問題を見つけるために、定期検診を必ず受けましょう。
ふだんから歯科医師や歯科衛生士とよい関係を築くことができれば、些細な不安も気軽に質問しやすくなります。保護者の方や歯科医院のスタッフがチームとなって、お子さまの口腔内の成長を見守りましょう。
乳歯の歯並びの治療を検討されている方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。