こどもの歯ぎしりは大丈夫?親が知っておきたい原因と対策

2023年05月14日(日)

小児歯科

こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。

黄色い背景の前に笑顔の男の子がいる

こどもが寝ているときの「ギリギリ」という歯ぎしり音を聞いてご心配の方はいらっしゃいませんか。

多くの場合、こどもの歯ぎしりは成長の過程で行うものなので問題ありません。顎の成長や噛み合わせのコントロール、永久歯が生えるスペースの確保など、歯ぎしりは成長の証なのでご安心ください。

しかし、永久歯が生え揃っても歯ぎしりしている場合や歯や顎に痛みが出ているなら、歯科医院の受診が必要かもしれません。

本記事では、こどもの歯ぎしりの原因や解消法について解説しています。こどもの歯ぎしりが与える影響や歯科医院の受診が必要なケースも解説しているので、こどもの歯ぎしりが心配な親御さまは、ぜひ参考にしてください。

こどもの歯ぎしりの原因

両手を広げている女の子

こどもの歯ぎしりは、歯が生え始める生後6~8か月ごろから12歳ごろまでによくみられます。

大人の歯ぎしりは、歯がすり減るおそれや歯茎が下がって顎関節症など体に悪影響を与えるおそれがあるため、治療が必要です。

しかし、こどもの歯ぎしりは、顎が発達する、噛み合わせを整えるなど成長の過程で行われるものなので心配ありません。乳歯が生え始める乳幼児期(0~5歳)と永久歯が生え始める児童期(6~12歳)の歯ぎしりの原因は、以下のとおりです。

①歯が生える際のむずがゆさのため(乳幼児期)

こどもの歯ぎしりは、乳歯が生え始める生後6~8か月からみられるようになります。生後6~8か月の歯ぎしりは、今までなかった歯が生えることで、むずがゆさを感じることや違和感をおぼえることが原因です。

乳歯が生え揃うと自然と歯ぎしりしなくなるので、大きくなっている証だと思って様子をみましょう。歯のむずがゆさの解消や歯茎や顎の発達のため、歯がため(おもちゃ)を与えるのもよいでしょう。

②歯や顎の位置を決めるため(乳幼児期)

乳幼児期の歯ぎしりは、歯ぎしりをすることで生えてくる歯の位置や顎の位置をコントロールする役割や顎を鍛える役割があります。そのため、乳幼児期の歯ぎしりは成長するために必要なので心配ありません。

乳幼児期の歯ぎしりは、食べ物をしっかり噛むためのトレーニング期間と考えましょう。

③永久歯が生えるスペースを確保するため(児童期)

乳歯が生え揃い、永久歯が生えだすのは5~6歳ごろが目安です。

乳歯が生え揃ったあとにみられる児童期の歯ぎしりは、顎の成長を促し、永久歯が生え揃うスペースを確保します。うまく顎が成長しないと、永久歯の歯並びが悪くなる原因となります。5~6歳ごろの歯ぎしりは顎の成長のためなので、心配ありません。

④噛み合わせのバランスをコントロールするため(児童期)

乳歯と永久歯が混在している児童期は、歯ぎしりによって噛み合わせのバランスをコントロールしています。

顎の成長にともない、噛み合わせも安定してくるので様子をみましょう。

⑤ストレスや睡眠不足のため(児童期)

大人と同じように、こどももストレスや睡眠不足が原因で歯ぎしりすることがあります。顎の成長などにともなう歯ぎしりは、永久歯が生え揃うころには徐々になくなっていきます。

しかし、ストレスや睡眠不足による歯ぎしりは、癖になることもあるので注意が必要です。特に、歯ぎしりは眠りが浅いとよく起こります。よくあくびをする、朝起きられない、寝つきが悪い、昼間にぼーっとしているなどの症状があると、ストレスの解消や睡眠環境の整備などの対処が必要です。

歯ぎしりが与える影響

頬に手を当てている男の子

こどもの歯ぎしりは、基本的には成長にともなうものなので心配ありません。

しかし、長期間の歯ぎしりやひどい歯ぎしりの場合、以下の悪影響を与える可能性があります。

 

  • 歯がすり減る・欠けるなどの悪影響
  • 歯肉炎など歯茎への悪影響
  • 顎関節への悪影響

 

基本的に永久歯が生え揃うまでの歯ぎしりは、体に悪影響をおよぼすものではないため心配ありません。顎の筋肉や関節に柔軟性があるので、歯ぎしりによる体への影響は出にくいです。

しかし、ひどい歯ぎしりの場合、歯がすり減ることや欠けることがあるかもしれません。また、歯茎への悪影響や顎関節症の原因になることもあります。特に、乳歯は永久歯に比べるとやわらかいため、すり減りやすく、欠けやすいといえます。

多少のすり減りは問題ありませんが、仕上げ磨きのときなど、定期的に口腔内に異常がないか確認しましょう。

歯ぎしりの対策と予防

仰向けで寝ている女の子

こどもの歯ぎしりは心配いらないことがほとんどですが、ひどくなると体に悪影響をおよぼします。

日常に取り入れられる歯ぎしりの対策と予防法は、以下のとおりです。

①正しい姿勢を心がける

猫背は、首の前方の筋肉に負荷がかかることで歯ぎしりしやすくなるので注意が必要です。また、頬杖も左右の顎がゆがむ原因となります。

座っているときも立っているときも、ふだんから姿勢を正すように心がけましょう。

②よく噛む

食事で噛む回数が少ないこどもは、歯ぎしりしやすい傾向にあります。よく噛んで食べることは顎の成長を促すため、咀嚼回数が少ないと歯並びに悪影響が出ることもあります。

やわらかいものばかり与えるのではなく、レンコンやゴボウ、ニンジンなど、噛みごたえのある野菜を与えましょう。また、急いで食べないように、落ち着いた食卓の雰囲気づくりも効果的です。

③仰向けで寝る

寝る姿勢が悪いと、眠りが浅いことで歯ぎしりの原因になります。そのため、歯ぎしりを予防するには、体の負担が均等となりやすい仰向けで寝るのがよいでしょう。横向けやうつ伏せは、顎に負担がかかりやすいため、歯ぎしりしやすくなります。

また、高い枕を使用すると体に負担がかかり、眠りが浅くなりやすいので注意が必要です。こどもが寝る姿勢や睡眠不足が原因で歯ぎしりしている場合、睡眠環境を見直しましょう。

④ストレスを解消する

大人と同じように、こどもの歯ぎしりもストレスが原因の場合があります。大人であればストレスを感じても気持ちの切り替えができますが、こどもの場合はストレスを溜めこむことが多いので注意が必要です。

以下のようなストレスを感じやすい場面では、特にこどもに目をかけてあげましょう。

 

  • 入園式や入学式など環境が変化した
  • 友達と喧嘩した
  • 親や先生から叱られた

 

こどもがストレスを感じていそうなときは、スキンシップをとり、じっくり話を聞くなど、こどもが安心できる環境を作ってあげましょう。

歯科医院を受診すべきケース

歯科医師とハイタッチをする女の子

こどもの歯ぎしりはほとんどの場合問題ありませんが、以下のような症状がみられる場合は一度歯科を受診した方がよいでしょう。

①永久歯が生え揃ってからも歯ぎしりしているケース

乳歯が生え始める生後6か月ごろから永久歯が生え揃う12歳ごろまでの歯ぎしりは、成長にともなう歯ぎしりなので基本的に問題ありません。

しかし、永久歯が生え揃ってから行う歯ぎしりは、虫歯や噛み合わせの悪さ、顎の発達が未熟なことが原因として考えられます。永久歯が生え揃っても歯ぎしりをしている場合は、成長の過程で行うものではないので、一度歯科医院を受診しましょう。

②歯が大きく欠ける・歯が痛むケース

寝ているときや集中しているときなどに無意識で行う歯ぎしりは、食事で噛むときよりも歯に何倍もの負担がかかります。そのため、ひどい歯ぎしりによって歯のすり減りがすすみ、歯が大きく欠けることがあります。

多少のすり減りなら様子見でよいですが、欠けた部分が大きい場合や明らかにすり減っている場合は注意が必要です。

また、ひどい歯ぎしりが続く場合、歯に負担がかかりすぎて、歯の神経が炎症を起こして強く痛むこともあります。以上の症状がある場合は、なるべくはやく歯科を受診しましょう。

③歯がぐらついているケース

ひどい歯ぎしりが続くと、歯が力に耐えきれず、ぐらつくことがあります。歯のぐらつきを放っておくと、歯が割れてしまうおそれもあるため注意が必要です。

永久歯がぐらついている、生え変わりの時期でもないのに乳歯がぐらついているなどの症状がある場合は、一度歯科を受診しましょう。

④顎に違和感や痛みが出ているケース

歯ぎしりは、基本的には寝ているときや集中しているときなど無意識に行われますが、日中も癖になって歯ぎしりしている場合は注意が必要です。歯ぎしりが癖になると、顎が休まる時間がないことで大きな負担がかかり、顎関節症を引き起こすかもしれません。

こどもが口を開けたときに「カクカク」「パキッ」などの異音がする、口が開けづらい、大きく開けられないなどの症状がある場合、歯ぎしりが原因で顎関節に負担がかかっているかもしれません。このような症状がある場合は、一度歯科を受診しましょう。

まとめ

黄緑の背景の前でグッドサインを出している女の子

こどもが歯ぎしりしている場合、歯や顎に悪影響があるのではないかと心配される方がいるかもしれません。

しかし、基本的にこどもの歯ぎしりは成長の過程で行うものなので心配ありません。顎の成長や噛み合わせのコントロール、永久歯が生えるスペースの確保など、こどもの成長にとって歯ぎしりは必要なのでご安心ください。

ただし、永久歯が生え揃っても歯ぎしりしている、歯や顎に痛みが出ているなどの症状がある場合は注意が必要です。歯の神経の炎症やぐらつき、顎関節の原因となることもあるので、心配な場合は一度歯科を受診しましょう。

こどもの歯ぎしりでお悩みの方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。