子どもの受け口を矯正する方法は?矯正を始める年齢や受け口を防ぐ方法も

2025年04月05日(土)

小児歯科 矯正歯科

こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。

受け口を矯正する子ども

受け口は、下の歯が上の歯より前に出ている歯並びです。見た目にコンプレックスを抱えやすいだけでなく、会話や食事にも支障をきたす場合があります。

「受け口を予防する方法はある?」「いつから矯正を始めればよいの?」と気になっている保護者の方もいるでしょう。

この記事では、子どもの受け口を矯正する方法について解説します。治療を始める年齢や受け口を防ぐ方法についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。

受け口とは

受け口の子ども

受け口(反対咬合)とは、上下の歯の噛み合わせが通常とは逆になり、下の歯が上の歯より前に出ている状態を指します。見た目の問題だけでなく、発音や咀嚼、顎関節への負担など、さまざまな機能的な問題を引き起こすことがあります。

そのため、単なる見た目の問題として軽視するのではなく、子どもの将来を見据えた早めの対応が求められます。

受け口の種類

受け口は、歯の位置や生え方に起因する歯性の受け口と、あごの骨の発達に起因する骨格性の受け口の2種類に分けられます。

前者は歯並びのズレによるもので、軽度であることが多く、矯正治療によって改善が期待できます。後者はあごの骨格に原因があり、成長とともに症状が進行する可能性があるため、早期の診断と対応が非常に重要です。

子どもが受け口になる原因

受け口になる原因である指しゃぶりをしている子ども

子どもの受け口は、複数の要因が重なり合って起こるとされています。主な原因は、大きく分けて以下の2つです。

親からの遺伝

受け口の原因の一つは、親からの遺伝です。親の骨格や歯の大きさは子どもに遺伝します。

生まれ持った骨格に加えて、親と同じ食事や姿勢などを送ることで、親と同じような歯並びになるケースは少なくありません。そのため、親が受け口の場合は、子どもも受け口になる可能性があります。

癖や習慣

舌で前歯を押し出す癖や指しゃぶりの癖があると、下の歯に内側から力がかかり、受け口の原因になります。また、口呼吸をしていると、舌の位置が下がり、空気の通り道である気道が狭くなりやすいです。呼吸をしやすくするために、下顎を突き出す癖がつく人もいます。

子どもの受け口をそのままにするリスク

子どもの受け口をそのままにするリスクイメージ

ここからは、子どもの受け口をそのままにするリスクについて解説します。

発音がしにくくなる

受け口の子どもは、上下の前歯の位置が通常とは異なるため、特定の音を正しく発音しにくくなる場合があります。特に、サ行やタ行の発音が不明瞭になりやすく、話す際に違和感を覚えやすいでしょう。

また、舌の位置や動きが制限されるため、滑舌が悪くなりやすいです。コミュニケーションに自信を持てなくなり、学校や日常生活での会話に苦手意識を感じる子どももいます。

見た目にコンプレックスを抱える

受け口は、横顔のバランスが崩れたり、口元が突き出たように見えたりしやすく、見た目にコンプレックスを抱える原因になります。特に、思春期の子どもは、見た目のコンプレックスがストレスにつながりやすいです。

自信を持って笑えなかったり、性格に影響を及ぼしたりする場合もあります。

胃腸に負担をかける

受け口では、噛み合わせが悪く、食べ物を十分に咀嚼できないケースもあります。よく噛まずに飲み込むと、胃腸に負担をかけ消化不良を起こしかねません。食事の量が減ったり、栄養を十分に吸収できなかったりする恐れがあります。

顎関節症を発症する

受け口をそのままにしておくと、顎関節に過度な負担がかかり、顎関節症を発症するリスクが高まります。顎関節症とは、口を開けるときに音がしたり痛みを感じたり、口を開けられなくなったりする症状の総称です。

食事や会話の際に痛みや違和感が生じ、日常生活に支障をきたすこともあります。

受け口矯正は何歳から?

受け口矯正を始める適齢期の子ども

受け口の矯正は、顎の状態や受け口の原因によって異なりますが、できるだけ早く始めるとよいでしょう。4〜5歳頃から治療を始めると、顎の成長を利用して受け口を改善できる場合があります。

永久歯が生えそろった12歳以上になると、顎の骨の成長が落ち着くため、ワイヤー矯正や外科手術が必要になるケースもあります。治療を開始する年齢は子どもによって異なるため、早めに歯科医院で相談することが大切です。

子どもの受け口を矯正する方法

子どもの受け口を矯正するマウスピースやワイヤー矯正のイメージ

成長に合わせて適切な時期に矯正治療を始めると、抜歯や外科手術を避けられる場合があります。ここでは、子どもの受け口を改善するための主な治療方法について解説します。

上顎前方牽引装置

上顎前方牽引装置は、上顎の成長を前方に促すための矯正装置です。受け口は、上顎が小さすぎることが原因で起こる場合もあります。

上顎に固定した装置に対して顔の外側からゴムで引っ張り、上顎を前方に引き出す力をかける治療方法です。

対象となるのは、6〜12歳頃の成長期の子どもです。骨の成長を利用して骨格のバランスを整え、上顎の発達を促します。

チンキャップ

チンキャップは、上下の顎のバランスを調整する装置です。バンドあるいはヘルメットを被り、顎に小さなキャップを被せます。頭と顎のキャップをつなぐゴムの力を利用して、下顎の成長をコントロールするのです。

骨格の成長が活発な時期に装着することで、将来的に外科手術を避けられる可能性があります。毎日10時間以上装着しなければならないため、子ども自身が嫌がらずに取り組む必要があります。

筋機能矯正装置

筋機能矯正装置は、受け口の原因にアプローチするマウスピース型の装置です。歯を動かすのではなく、口呼吸や舌の癖、唇の筋力不足などを改善します。

治療を行う際は、毎日一定時間装置をつけるのに加えて、口周りや舌のトレーニングも必要です。成長期の子どもが治療を続けると、自然な顎の発育や歯並びが期待できます。

床矯正・急速拡大装置

床矯正は、顎の幅が狭い場合に、ネジやバネを使って少しずつ上顎を広げる治療です。装置は取り外せるため、食事は普段どおり行えます。

上顎を広げる治療には、急速拡大装置を使った治療もあります。急速拡大装置は床矯正と違って取り外しができませんが、床矯正よりも短期間で上顎を広げられる治療です。

マウスピース矯正

マウスピース型矯正は、取り外し可能なマウスピースを装着して、少しずつ歯を動かしていく矯正治療です。上下の歯の傾きが原因で起こる受け口の場合に適応できるケースが多いです。

マウスピースは透明で目立ちにくく、学校生活でも友達から見られるのをほとんど気にせず過ごせるでしょう。1日20時間以上装着できるよう、間食を減らす、装置をなくさないなどの注意が必要となります。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、歯にブラケットを装着してワイヤーで力をかけ、歯を理想的な位置に動かしていく治療法です。受け口の原因が骨格ではなく、歯並びの乱れによる場合に適応となります。永久歯が生えそろった子どもから大人に対して行われる矯正治療です。

歯のねじれや突出などがあり、歯を大きく動かさなければならない場合でも、対応できるケースが多いです。口を開けるとワイヤーが見えやすい点はデメリットでしょう。

子どもが受け口になるのを防ぐ方法

子どもが受け口になるのを防ぐ方法を説明する歯科医師

生活習慣や口周りの癖などが影響し、受け口になるケースも少なくありません。ここでは、子どもが受け口になるのを防ぐ方法について解説します。

鼻呼吸を習慣づける

口呼吸を続けていると、口周りの筋肉の働きが低下し、下顎が前に出やすくなります。そのため、鼻呼吸を習慣づけることが大切です。

お子さまが口を開けているときに、口を閉じて鼻で息を吸うように声をかけましょう。子どもによっては、鼻づまりやアレルギー性鼻炎などで鼻呼吸が難しい場合もあります。口呼吸をなかなか改善できない場合は、一度耳鼻科で診てもらうのもよいでしょう。

MFTを行う

受け口になるのを防ぐためには、MFT(口腔筋機能療法)を行うのもひとつの方法です。舌が常に下がっていたり、飲み込むときに舌を突き出していたりすると、前歯を外側へ押し出す力がかかり、受け口の原因になる場合があります。

舌の位置や動かし方は、顎の発育や歯並びにとって重要なのです。

MFTでは、トレーニングを通じて安静時の舌の位置や飲み込む際の舌の使い方などを覚えます。歯科医院でMFTの指導を受けられるため、気になる方は相談しましょう。

よく噛んで食べる習慣をつける

やわらかいものばかりを食べていると、顎の骨や筋肉が発達しない場合があります。上下の顎の成長バランスが崩れ、受け口になるケースもあるでしょう。

食事の際には、ひとくちあたり30回ほど噛むよう声掛けをし、根菜類や海藻など噛みごたえのある食材を取り入れるとよいでしょう。家族で一緒に、よく噛むことを習慣にすれば顎の成長を促せます。

指しゃぶりや舌の癖を早めにやめる

指しゃぶりや舌を前に突き出す癖、頬杖などは、顎の位置や歯の生え方に悪影響を及ぼします。特に3歳を過ぎても指しゃぶりの癖が続くと、受け口や出っ歯などの不正咬合につながりやすいです。

癖は本人が無意識に行っていることが多いため、優しく声をかけながら少しずつ改善していきましょう。歯科医院で相談し、アドバイスを受けるのもよいでしょう。

まとめ

子どもの受け口を矯正し笑顔の親子

子どもの受け口を放置すると、見た目に対するコンプレックスの原因だけでなく、滑舌が悪くなったり、食べ物を十分に噛めなくなったりする恐れがあります。顎が成長している子どもの時期に治療を開始すれば、重症化を抑えられる可能性があります。

受け口にならないためには、指しゃぶりや口呼吸などの癖を改善したり、食事の際によく噛んで食べたりすることも大切です。いつ治療を開始すればよいのか、どのような治療方法がよいかは、お子さまの歯並びの状態によって異なるため、歯科医師に相談してください。

お子さまの受け口の治療を検討されている方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。

当院では、小児歯科を中心に成人の一般歯科や矯正治療なども行っています。診療案内はこちら、ご予約も受け付けております。