こどもの虫歯の治療方法!親子でできる虫歯予防のポイントも解説!

2023年06月04日(日)

小児歯科

こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。

歯のキャラクターとコップに入った歯ブラシ・歯鏡が置かれている

お子さまの虫歯でお悩みの保護者の方は多いでしょう。こどもの頃は歯磨きがうまくできないうえに、歯磨きを嫌がることもあるため、歯をきれいに保つことは難しいです。

しかし、こどもの虫歯は将来の歯の健康にも影響するため、適切な対処が必要です。

今回は、こどもの虫歯の特徴や治療法、親子でできる虫歯予防のポイントをご紹介します。

虫歯の基本情報

歯の内部のイラスト

まずは、虫歯の基本情報を解説します。

虫歯について

虫歯とは、ミュータンス菌などの虫歯の原因菌が出す酸によって、歯のカルシウムが溶かされてもろくなり、穴があいてしまう病気のことです。虫歯が発生すると、下記の経過をたどります。

 

  1. 口の中の原因菌(ミュータンス菌)がショ糖などの糖質を取り込み、歯垢を形成する
  2. 歯垢の中で原因菌が増殖し、糖質から酸を産生する
  3. 酸によって歯質(エナメル質・象牙質)からカルシウムやリンが溶け出す(脱灰)
  4. 虫歯が進行し歯に穴があく

歯に穴があくと、もとの状態に戻すことはできません。虫歯は重症になるまで自覚症状が少ないため、自分では虫歯になっていることに気づかないケースも多いです。

虫歯の原因

虫歯の主な原因は、歯垢(プラーク)です。歯垢とは、食べ物の残りカスが歯の表面に付着して細菌が繁殖したもので、白くねばねばしています。食後約8時間で歯垢ができるといわれ、歯垢1mgの中にはおよそ300種類、約1億個もの細菌が存在しています。

歯垢に潜む細菌(ミュータンス菌など)が作り出す酸によって歯が溶かされた状態が、虫歯です。細菌は糖分を栄養とするため、甘い物は虫歯の原因のひとつです。

糖分の摂りすぎだけでなく、歯磨きの仕方や唾液量の不足など、細菌の働きや繁殖を高める要因は数多くあります。

虫歯を放置すると起きるトラブル

虫歯は、放置するとさまざまなトラブルを引き起こします。

虫歯を放置することで起きるトラブルは、以下のとおりです。

我慢できない強烈な痛みを感じる

虫歯は放置すると冷たいものや熱いものがしみるようになり、お米などの柔らかいものを噛んでも痛むようになります。悪化すると、何も口にいれていない状態でも激しい痛みを感じるようになり、市販の痛み止めが効かないほどの強烈な痛みに移行するのです。

骨を溶かして出血する

虫歯を放置すると歯髄まで細菌が到達し、歯根に膿や細菌が溜まります。歯根に溜まった細菌などは、歯だけでなく歯を支える骨を溶かし、出血の原因にもなります。

重大な健康被害を引き起こす

虫歯を放置することが与える影響は、口腔内だけにとどまりません。虫歯を放置し続けると、いずれ神経が死んで腐敗します。細菌が血管内に入って全身に運ばれると、さまざまな病気を引き起こすのです。

虫歯を放置することで起きる代表的な病気は、以下のとおりです。

 

  • がん
  • 糖尿病
  • 動脈硬化
  • 認知症
  • 副鼻腔炎
  • 骨の炎症(顎骨骨髄炎、顎骨骨膜炎、蜂窩織炎など)
  • 歯原性菌血症
  • 脳腫瘍

こどもの虫歯の特徴

黄緑の背景の前に歯の模型がある

こどもに発生する虫歯には、以下の特徴があります。

歯と歯の間にできる

こどもの虫歯は、歯と歯の間にできるケースが多いです。特に、奥歯の歯と歯の間は視認しづらく、虫歯が進行していても気づくのが遅れることが多いです。

また、奥歯の歯と歯の間は詰まっているので、通常のブラッシングで汚れを落とすのは難しく、デンタルフロスを使わないと汚れが残ります。そのため、クリニックでレントゲンを撮って初めて虫歯に気づくことも多いです。

乳歯の初期虫歯は白い

乳歯は歯がやわらかいので、大人の歯とは違って病状が進行するスピードが早いです。そのため、乳歯の初期虫歯は黒ではなく白くなります。

「虫歯=黒」とイメージする方が多く、乳歯が白くなっていても虫歯だと認識できません。そのため、虫歯になっても気づかず、治療が遅れることがあります。

乳歯の虫歯は進行が早い

上述しましたが、乳歯の虫歯は大人の虫歯に比べて進行スピードが早いです。

通常、歯の表面は体の中で一番硬いエナメル質で覆われていますが、乳歯のエナメル質は大人の半分の厚さしかありません。そのため、エナメル質が溶かされて柔らかい象牙質まで菌が侵入すると、一気に神経まで進行するのです。

乳歯の虫歯は痛みが出にくい

進行が早いにもかかわらず、乳歯の虫歯は痛みが出にくいので虫歯が進行していることになかなか気づけません。

こどもは痛みの感覚が発達しておらず、痛みに気づきにくいので虫歯が進行しやすいです。虫歯の痛みを感じるよりも、虫歯によってあいた穴に食べかすが詰まり、歯茎が腫れて痛いと訴えるケースが多いです。

虫歯の痛みは出たり引いたりするので、こどもが痛いといっても次の日には痛みが引いてしまい、見過ごすこともあります。

乳歯は抜けるから虫歯になっても大丈夫?

白い背景の前にピンクのクエスチョンマークがある

「乳歯は抜けるから虫歯になっても問題はない」と聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。確かに、こどもの頃に生えている乳歯はいずれ抜け、そのあと永久歯が生えてきます。

しかし、生え変わるからといって乳歯の虫歯を治療せずに放置してもよいわけではありません。乳歯が虫歯になると、永久歯が生えるスペースが減り、歯並びに大きな影響を与えることがあります。

乳歯に大きな虫歯があると、のちに生える永久歯の形や色が変化し、歯の見た目の悪さに一生悩み続ける可能性もあります。こどもの歯に異変があれば、すぐに歯科医院に相談しましょう。

【進行度別】こどもの虫歯の治療方法

歯科医院で歯の治療を受ける女の子

こどもの虫歯にはどのような治療を行うのか、進行度別に解説します。

C0:初期段階

初期段階の虫歯の場合は、歯から溶け出したカルシウムが再び歯に取り込まれる再石灰化を目指して治療を行います。削るなどの治療は行わず、虫歯菌の活動を抑える働きがあるフッ素を塗布して、経過を観察する場合が多いです。

C1:軽度の段階

軽度の虫歯は、歯の表面のエナメル質に虫歯ができている状態です。虫歯ができている部分を少し削り、レジンとよばれるプラスチックを詰めて治療します。基本的に1回で治療を終えることができるため、治療後すぐに食事をすることが可能になります。

C2:象牙質まで到達している段階

エナメル質の下にある象牙質はエナメル質より柔らかいため、乳歯においては特に虫歯の進行が早いです。C2まで進行すると、痛みを感じ始めます。

虫歯ができている部分を削って型を取ります。歯型を取ったあとは削った部分に仮の詰め物をしておき、後日完成した詰め物を入れて、治療は完了です。

C3:神経まで到達している段階

さらに虫歯が進行すると、象牙質を超えて神経まで到達します。夜も眠れないほどの鋭い痛みを感じることがあります。成人の場合は神経を取る治療を行うことが多いです。

しかし、こどもの神経は再生能力が高いため、神経の一部を残す「生活歯髄切断法」を行う場合もあります。生活歯髄切断法は適応が限られるため、すべてのケースで行えるわけではありません。

C4:歯のほとんどが崩壊している段階

虫歯が長い期間放置されると、歯のほとんどが崩壊して根っこだけが残り、歯茎に膿の袋ができます。C4まで虫歯が進行すると、あまりの激痛で生活に大きな支障をきたします。成人の場合は抜歯を行うことが多いです。
しかし、こどもの場合はあとから生えてくる永久歯のスペースを確保するため、乳歯を補強する治療を行って、様子を見ることもあります。

親子でできる虫歯予防のポイント

歯磨きをしている親子

最後に、親子でできる虫歯予防のポイントをご紹介します。

親がきちんと仕上げ磨きをする

虫歯予防で最も大切なのは、歯磨きです。

特に虫歯ができやすい部分は、以下のとおりです。念入りに仕上げ磨きを行いましょう。

 

  • 奥歯と奥歯の間
  • 上顎の前歯と前歯の間
  • 奥歯の溝
  • 乳歯と歯茎の間

大人とは違い、こどもは自分でうまく歯磨きをすることができません。こどもが歯磨きをしたあとは、必ず親が仕上げ磨きをしましょう。

間食は決まった時間に摂る

虫歯は、口の中の糖分を栄養に酸を作り、歯を溶かしていく病気です。そのため、虫歯の栄養になる糖分が口の中に長時間あると、虫歯になるリスクが高まります。

特に、ジュースや飴などの糖分が多いものは、口の中に長い時間とどまるので注意が必要です。おやつや間食はだらだらと食べさせず、なるべく決まった時間に与えましょう。

赤ちゃんの頃からスプーンや箸を親と分ける

離乳食を食べ始める赤ちゃんの頃から、スプーンや箸は大人のものとは分けましょう。

虫歯は、ミュータンス菌をはじめとした細菌による感染症です。生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいません。赤ちゃんの口に虫歯菌が感染するルートは、最も長い時間をともに過ごすお母さんからが多いといわれています。もちろん、お母さんだけではなく、お父さんや兄弟、おじいちゃん、おばあちゃんなど、近くにいる人間であれば誰からでも感染する可能性があります。

一度、大人の口に入れたスプーンや箸で赤ちゃんに食べ物を与えるのは、絶対にやめましょう。赤ちゃんが使う箸やスプーンなどは赤ちゃん専用とし、ほかの人が使ったスプーンなどからは食べ物を与えないようにしましょう。

定期的に歯科検診を受ける

定期的な歯科検診も、虫歯予防には非常に有効です。「虫歯になったら歯科医院に行く」と考える方が多いですが「虫歯になる前から歯科医院に通う」が正しい認識です。特に、こどもはうまく歯磨きができないうえに、一度虫歯ができるとあっという間に進行するため、気づいたときには手遅れな場合もあります。

定期的に歯科医院を受診し、検診とクリーニングを受けましょう。検診を受けることで、正しく歯磨きができているか、虫歯の兆候はないかなどを確認し、虫歯を確実に予防できます。

親も虫歯予防に取り組む

こどもの虫歯を予防するためには、親自身も虫歯予防に取り組むことが大切です。

ふだんから親が歯磨きなどを雑に行っていると、こどもが真似をして虫歯予防に関心をもたなくなります。親が丁寧に歯磨きをしていない状態で「ちゃんと歯磨きしなさい」といっても、説得力がありません。親が手本となって歯磨きをすることが、こどもに虫歯予防の重要性を認識してもらう第一歩です。こどもだけでなく、親の虫歯の予防意識も高めましょう。

まとめ

王冠を手に持っている女の子

今回は、こどもの虫歯の特徴や治療法、親子でできる虫歯予防のポイントを解説しました。

こどもの虫歯は、自覚するのが難しく、進行が早いことが特徴です。乳歯に発生した虫歯は次に生えてくる永久歯にも影響を与え、将来の歯並びや噛み合わせのコンプレックスにつながる可能性もあります。虫歯からこどもを守るには、日々の徹底したケアが欠かせません。家族みんなで虫歯予防の意識を高め、虫歯に負けない歯を目指しましょう。

こどもの虫歯治療や予防を検討されている方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。