乳歯にすき間が必要な理由とは?すき間がないことによる悪影響
2023年06月25日(日)
こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。
こどもの歯並びの特徴として、乳歯と乳歯の間にすき間があることがあげられます。実は、乳歯のすき間は永久歯の生え変わりの時期などで重要な役割を果たしているのです。
今回は、乳歯のすき間が必要な理由、すき間がないときの対応方法について解説します。
目次
乳歯にすき間が必要な理由
乳歯は、一般的に8~9か月ごろから下の乳歯から生え始め、3歳頃には全ての乳歯が生え揃います。2〜3歳ごろまでは乳歯にすき間がなくても特に問題ありません。
しかし、5歳以降になると顎の発育とともに乳歯と乳歯の間にすき間ができます。もし、5歳以降になっても乳歯と乳歯の間にすき間がないと、将来的に永久歯が生えるスペースが不足し、永久歯の歯並びに悪影響をおよぼす可能性があります。そのため、永久歯がきれいに生え揃うためには、乳歯と乳歯の間にすき間があることが重要です。
乳歯のすき間の種類
永久歯がきれいに生えるためには、乳歯列のすき間が必要であることを解説しました。次に、3つの種類の乳歯のすき間について解説します。
霊長空隙(れいちょうくうげき)
霊長空隙とは、前から3番目の乳歯(乳犬歯)の前後に見られるすき間のことです。上顎と下顎ですき間の位置が異なり、上顎では乳犬歯の前に、下顎では乳犬歯のうしろにすき間があります。
上顎のすき間は上の前歯が生えるためのスペースで、下のすき間は6歳臼歯が生えるためのスペースです。
霊長空隙は、永久歯が生えたあとに自然に消失します。
発育空隙(はついくくうげき)
発育空隙とは、乳歯列にみられる霊長空隙以外のすき間のことです。一般的に上の前歯の間に見られるすき間のことをさします。
上の前歯がすきっ歯に見えてしまう時期のことを「醜いアヒルの子の時期」とよぶことがあります。
霊長空隙と同様に、発育空隙は永久歯が生えたあとに自然に消失します。
リーウェイスペース
リーウェイスペースとは、乳歯と永久歯の大きさの差によって生じるすき間のことです。具体的には、乳犬歯、第一乳臼歯、第二乳臼歯の横幅の合計と永久歯の犬歯、第一小臼歯、第二小臼歯の横幅の合計の差のことをリーウェイスペースといいます。
乳歯が虫歯などで早期に抜けてしまうと、リーウェイスペースが減少するため、歯並びに影響を与えることがあります。
乳歯にすき間がないとどのような影響がある?
これまで乳歯のすき間の種類について解説しました。以下、乳歯にすき間がないことによる影響について解説します。
永久歯の歯並びが悪くなる
乳歯のすき間がないと、永久歯が正しい位置に生えるためのスペースを確保することができません。そのため、永久歯が重なり合って生えたり歯列からズレて生えたりすることがあり、歯並びが悪くなります。
虫歯になりやすくなる
乳歯のすき間がないと、歯と歯の間にものが詰まりやすくなります。歯と歯の間にものが詰まると汚れが歯に溜まりやすくなり、虫歯のリスクが増加します。
乳歯のすき間以外の歯並びが悪くなる原因
乳歯のすき間は、永久歯がきれいに生えるために必要であることを解説しました。以下、乳歯のすき間以外にも歯並びに影響を与える原因について解説します。
指しゃぶり
こどもによくみられる癖として「指しゃぶり」があります。
指しゃぶりを続けると、上の前歯が前方に、下の前歯が後方に動いてしまうことがあります。この影響により、奥歯をしっかり噛んでも前歯が噛み合わない開咬(かいこう)や歯並びがデコボコした叢生(そうせい)になることがあるのです。
指しゃぶりの習慣がある場合は、指しゃぶり防止グッズなどを用いて、しっかり予防しましょう。
頬杖やうつ伏せ寝
成長期のこどもの顎の骨は、ゆがみやすく変形しやすいといわれています。そのため、頬杖やうつ伏せ寝など顎に一定の力を加えると、顎の形態が変化することがあります。
日頃から頬杖などの癖がある場合は、注意しましょう。
口呼吸
顎や歯並びが正常に発達するためには、舌、唇やお口の周りの筋肉から適度な力が加わる必要があります。
しかし、口呼吸により日頃からお口があいている状態が続くと、力のバランスが崩れてしまい、歯並びが悪くなる原因となるのです。
また、口呼吸の場合、唾液が減少し、お口の中が乾燥します。唾液には、細菌の繁殖を防止する働きやお口の中の汚れを取り除く作用があるため、お口が乾燥すると虫歯の原因となるのです。
口呼吸の原因には、鼻詰まりや扁桃腺の肥大などがあります。口呼吸が気になる場合は、一度耳鼻科に相談しましょう。
舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)
舌を上下の前歯の間に押し出す癖のことを舌突出癖といいます。舌突出癖があると上下の前歯が前方に動いてしまい、先述した開咬の原因となります。
舌突出癖は、舌の正しい位置への誘導などの教育を行うことで改善可能です。
咬唇癖(こうしんへき)
唇を噛む癖のことを咬唇癖といいます。唇をかむことで上の前歯が前方に動いてしまい、出っ歯になることがあります。
咬唇癖がある場合は、唇を噛んでいることをしっかり意識させ、リップバンパーとよばれる専用の装着を用いて、物理的に唇を噛めないようにしましょう。
乳歯にすき間を作ることはできる?
結論から申しあげると、矯正治療を行うことで乳歯にすき間を作ることは可能です。すき間を作る治療法は、以下のとおりです。
床矯正
床矯正は、矯正装置にあるネジを毎日少しずつ回すことで、上顎骨を少しずつ広げる矯正方法です。上顎を広げることで歯を並べるスペースを確保できます。
床矯正は、主に7〜12歳ごろのお子さまが対象です。上顎の成長を促進することで、骨格と歯並びのバランスを整えることができます。
ヘッドギア
ヘッドギアは、上の第一大臼歯に装着した装置とヘッドギアを組み合わせた矯正方法です。ヘッドギアを使用することで、上顎骨の過度な成長を抑制し、下顎骨の正しい成長を促すことができます。
また、奥歯の位置をうしろに移動させて、将来の永久歯のスペースを確保する効果もあります。上下の顎の成長のバランスを整えることができるでしょう。
インビザライン・ファースト
インビザライン・ファーストは、透明なマウスピースを用いた矯正方法です。大人の歯列矯正で使用されるインビザインのこどもバージョンというイメージです。
インビザイン・ファーストは、歯列不正や不正咬合の治療と同時に、顎の大きさを広げることができます。インビザライン・ファーストのメリットは、目立ちにくく、取り外しが可能で食事や歯磨きがしやすいこと、ワイヤー矯正に比べて痛みを感じにくいこと、金属アレルギーの心配がないことがあげられます。
口腔機能療法(MFT法)
歯列は、舌や口輪筋などお口の周りの筋肉に囲まれています。歯並びや顎の正常な発育には、お口の周りの筋肉のバランスを整えることが非常に重要です。
口腔機能療法では、舌や口唇、顔面の筋肉などお口の周りの筋肉を鍛えて、筋肉のバランスを整えるトレーニングを行います。このトレーニングを行うことで、正常な顎の発育や歯並びの改善が可能です。
まとめ
今回は、乳歯のすき間について解説しました。
乳歯のすき間には、霊長空隙、発育空隙、リーウェイスペースの3種類があり、リーウェイスペースは乳歯が早期に脱落すると減少する可能性があります。乳歯のすき間がないと、永久歯列が悪くなったり虫歯の原因になります。乳歯のすき間を作る方法には、床矯正やインビザライン・ファーストなどさまざまな治療法があります。将来の歯並びをよくするためにも、定期的に歯科医院に通院し、早期の矯正治療を行いましょう。
お子さまの乳歯のすき間でお悩みの方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。