乳歯が抜けるのが早いと歯並びに影響はある?注意点も解説!
2024年02月03日(土)
こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。
乳歯が早く抜けてしまうことは、よくないことだと考えている方も多いでしょう。確かに、一般的な時期よりも早く乳歯が抜けると不安に思うでしょう。
どのような原因で早めに乳歯が抜けるのでしょうか。また、どのような影響を及ぼすのでしょうか。
今回は、乳歯が早く抜けてしまう原因について解説しながら、その際の注意点や永久歯が生えてこない時の対処法についてご説明します。
目次
乳歯が抜け始める時期
乳歯が生えてくる時期も、抜け始める時期も個人差があります。一般的に、5~6歳前後から乳歯が抜け初め、12歳くらいまでに永久歯に生え変わります。
14歳頃には、親知らず以外の永久歯がすべてそろった状態になる子どもが多いです。
一番先に抜けるのが、一般的には下の前歯です。同じ時期に6歳臼歯(第一大臼歯)が生えてきます。上の前歯は、7歳を過ぎてから永久歯に生え変わることが多いです。
順番に1本1本抜けるのではなく、一度に2本同時期に抜けることもあるでしょう。抜け始める時期は、4歳頃の場合もあれば、9歳頃の場合もあります。
乳歯が抜けるのが早いと歯並びに影響はある?
乳歯が早めに抜けてしまうと、その後の歯並びに影響があるのではないかと心配に思う保護者の方もいるでしょう。
しかし、抜け初めに個人差があるのは、お子さまの顎や永久歯の成長速度に差があるからです。顎や永久歯が早く成長した場合は、乳歯は早く抜ける傾向があります。
こうした場合は、4歳頃乳歯が抜け始めても歯並びに悪影響はないでしょう。また、顎がその時点で小さかったとしても、その後順調に成長していけば問題ありません。
しかし、顎の成長が乳歯の抜けていく速度に追い付いていないケースでは、顎の骨を広げる矯正治療を行うこともあります。乳歯が抜ける時期が早い場合だけではなく、顎の成長具合によっては治療が必要になるでしょう。定期的に歯科検診を受けて確認してください。
乳歯が抜けるのが早いこどもの特徴
乳歯が早めに抜ける傾向があるこどもには、以下の特徴があります。
乳歯が早く生えてきた
生まれた時から乳歯が生えている場合や、乳歯が生えてくるタイミングが早い場合などは、それだけ生育がよいということです。永久が生えるのも、顎が成長するのも早い傾向があります。
そのため、早めに乳歯が抜けて永久歯に生え変わることが多いです。
低ホスファターゼ症
低ホスファターゼ症は、遺伝性の難病で、歯を覆うセメント質の形成が阻害される病気です。低ホスファターゼ症の方の場合、1~4歳で根っこ部分と一緒に乳歯がぬけ落ちることがあります。
発症割合は10万人に1人と大変稀な病気です。歯や骨だけではなく、低ホスファターゼ症の症状は全身に現れます。
乳歯が抜けるのが早いときの注意点
ほとんどの場合、乳歯が早い時期に抜けても問題はありません。
しかし、将来のことを考えて、以下のように注意していただきたい点もあります。
仕上げ磨きを徹底し定期検診を受ける
生えたばかりの永久歯は、まだ未成熟な状態です。表面はやわらくザラザラしていて、酸に弱いという特徴があります。
つまり、成熟した永久歯よりも虫歯菌によって溶かされやすいといえます。また、永久歯と乳歯が混在して歯並びが凸凹しているので、その分磨きにくい状態です。
お子さまが低年齢である場合は、乳歯と永久歯がある歯並びを隅から隅まできれいに磨ききることはできないでしょう。本人が歯磨きの大切さを理解していないことも多いです。
乳歯が早く抜けた場合、このような理由から虫歯になるリスクは高いです。保護者の方が仕上げ磨きをして、口腔内を清潔に保つようにしてください。
定期検診にも通い、歯の状態をチェックしてもらうことも重要です。歯磨きでは取れない歯垢や歯石を除去し、フッ素を塗布してもらうと良いでしょう。
永久歯がスムーズに生えてくるか確認する
通常は、永久歯が育ったことで乳歯は抜けます。そのため、乳歯が抜けると、3か月前後で永久歯が生えてきます。
しかし、永久歯が半年以上たっても生えてこないこともあります。この場合は、歯科医院に相談しましょう。
抜けた乳歯の根っこを確認する
乳歯が早めに抜けた原因が、難病である低ホスファターゼ症かどうかを確認しておきましょう。根っこ部分が細い三角形なのか、四角なのかを確認してください。
通常は永久歯が成長すると乳歯の根っこは解けて四角になります。そうではない時は三角で、低低ホスファターゼ症が疑われます。
自分では判断できないことも多いので、抜けた乳歯を持参して歯科医師に確認してもらいましょう。
乳歯が抜けたあとになかなか永久歯が生えてこないときは
乳歯が抜けた後、3か月前後で永久歯が生えてくるのが通常です。半年たつのに一向に生えてくる様子がない場合は、歯科医院に相談しましょう。
永久歯が生えてこない原因としては、以下が挙げられます。
永久歯の先天性欠如
永久歯が存在しない症状を、先天性欠如といいます。この場合、乳歯は抜けずにそのまま残り続けることが多いです。永久歯が育っていく過程で乳歯の根がとけて抜けますが、先天性欠如の場合は乳歯の根が溶かされないためです。
永久歯の先天性欠如が早い段階で判明した場合は、できる限り乳歯を維持するようにケアするのが一般的です。経過観察をして、乳歯を抜歯して矯正治療によって歯並びを整えたり、入れ歯やインプラント、ブリッジなどの人工歯で補ったりします。
歯茎が厚すぎる
通常よりも歯茎が厚すぎるため、なかなか永久歯が生えてこられないケースもあります。この場合は、1~2年程度かかって永久歯が生えてくることが多いです。
経過観察が基本ですが、永久歯に動きが見られない場合は、少しだけ歯茎を切開して永久歯が生えやすいようにします。それでも永久歯に動きがない場合は、矯正によって歯を引っ張り上げる処置も行います。
外傷により乳歯が早く抜けてしまった
口に大きな衝撃を受けることで、乳歯が抜けてしまうこともあります。本来のタイミングではない時期に乳歯が抜けるので、永久歯は埋没したままなかなか生えてこないでしょう。
この場合も、歯茎を切開して永久歯が生えてきやすいようにします。
過剰歯が邪魔になっているため
乳歯は本来なら20本ですが、それ以上の数が生えている場合、過剰歯と呼びます。30~40人に1人の方に過剰歯があると言われており、珍しくない症状です。
過剰歯はやっかいな存在で、歯茎の中に埋没していることも多いです。この場合は、肉眼だけでは発見できないのでレントゲン撮影を行う必要があります。
乳歯が抜けたのになかなか永久歯が生えてこず、永久歯の有無をレントゲンで確認した際に見つけられることが多いです。
過剰歯は永久歯が生えることを阻害するだけではなく、歯並びや噛み合わせが悪くなってしまう原因にもなります。また、悪い位置に過剰歯がある場合では、永久歯の歯根を溶かすこともあるでしょう。神経まで傷つけられて、神経が死んでしまうケースもあります。
神経を失ってしまうと、歯はもろくなり抜けやすくなります。
まとめ
乳歯が抜けるタイミングは個人差が大きく、基本的には顎や永久歯が順調に育った後で抜けます。そのため、一般的な5~6歳頃より早かった場合でも、過度に心配する必要はありません。早すぎたため、歯並びに影響するということはあまりないでしょう。
しかし、外傷によって乳歯が抜けてしまった場合は、永久歯が生えてこられないこともあります。歯茎を切開するなど、歯科医院での処置が必要です。また、難病である低ホスファターゼ症の方は、1~4歳といった低年齢で乳歯を失うことがあります。
乳歯が早く抜けた場合、口腔ケアが重要です。しっかりと自分では磨けていない場合は、保護者の方が仕上げ磨きをしてあげましょう。定期検診を怠らないことも重要です。
お子さまの歯並びが気になる方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。