プレオルソの種類とは?種類別の治療できる症例や種類の選び方について
2025年01月04日(土)
こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。
「子どもの歯並びの乱れが気になる」とお悩みの保護者の方がいるのではないでしょうか。歯並びの悪さは見た目だけでなく、発音や噛み合わせ、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。そんななか、注目されているのが、プレオルソと呼ばれる矯正装置です。
プレオルソは、成長段階にある子どもに使用される柔らかい素材でできたマウスピース型の矯正装置です。これを装着することで顎の成長を促して、永久歯が並ぶ土台を作ることができます。プレオルソにはいくつか種類があり、お子さんの歯並びに合ったものを使用します。
本記事では、プレオルソの特徴や種類などについて解説します。治療できる症例も種類別に解説しますので、ぜひ参考にしてください。
プレオルソの特徴
プレオルソとは、主に乳歯と永久歯が混在する混合歯列期の子どもに使用されるマウスピース型の矯正装置です。歯を直接動かすのではなく、口周りの筋肉のバランスを整え、舌の位置などの歯並びが乱れる原因を改善することで、間接的に歯並びが整うように導きます。
プレオルソの最大の特徴は、口元の筋肉のバランスを整える点にあります。筋肉の発達を正しい方向へ促すことで、歯が自然と適切な位置に並ぶようサポートします。その結果、将来的に矯正治療が必要になった場合の負担が軽減されるというメリットがあります。
また、プレオルソは柔らかい素材で作られているため、装着時の痛みや違和感が少ないことも特徴の一つです。食事や歯磨きの際には取り外せるため、日常生活への影響を最小限に抑えられます。
この構造により、矯正治療中でも歯磨きがしやすく、虫歯や歯周病のリスクを抑えることが可能です。
さらに、プレオルソによる治療は、口腔全体の健康維持にもつながります。歯並びが改善されることで、ブラッシングが容易になり、将来的な虫歯や歯周病の予防にも効果が期待できます。
プレオルソのメリット・デメリット
プレオルソを検討する際には、治療の特徴や利点、課題についてしっかり理解しておくことが重要です。ここでは、プレオルソのメリットとデメリットについて詳しく解説します。
プレオルソのメリット
まずは、プレオルソのメリットについて解説します。
取り外しが可能
プレオルソは自由に取り外しができるため、食事や歯磨きの際にストレスがありません。矯正器具を装着したままでは磨きにくい部分もしっかりケアでき、虫歯や歯周病になるリスクを軽減できます。
装着時間が短い
プレオルソは就寝時と日中1時間ほど装着すればよく、学校や外出先で使用する必要がありません。装置の装着時間が短いという点は、お子さんにとって大きなメリットといえるでしょう。
痛みが少ない
プレオルソは歯を動かす装置ではないため、痛みを感じにくいのが特徴です。さらに、柔らかい素材で作られており、口腔内を傷つける心配もありません。
将来的な矯正治療の負担を軽減できる
早期に口周りの筋肉バランスを整えることで、永久歯が生えるスペースを確保できる場合があります。その結果、将来の本格的な矯正治療が短期間で済む、あるいは不要になる可能性もあります。
治療をスムーズに始められる
プレオルソは既製品のため、歯型を取る必要がありません。これにより、歯型採取を嫌がるお子さんでもスムーズに治療を始められます。
プレオルソのデメリット
さまざまなメリットがある一方で、プレオルソにはいくつかの課題も存在します。ここでは、
プレオルソのデメリットについて解説します。
適応範囲が限定的
プレオルソは複雑な歯列の問題には対応できません。重度の歯列不正や受け口などの場合は、他の矯正方法を検討する必要があります。
装着時間を守る必要がある
治療効果を得るためには、歯科医師の指示通りに装置を装着する必要があります。
装着時間が短いことはプレオルソのメリットですが、お子さんが装着を嫌がったり、寝ている間に外したりすると、計画通りに治療が進まなくなる可能性があります。計画どおりに治療を進めるためには、保護者の方のサポートが重要です。
完璧な仕上がりにはならない場合がある
プレオルソは歯を動かすものではありません。そのため、プレオルソで治療をしても、歯並びがきれいに整うわけではないのです。細かく歯並びを調整したい場合には、永久歯が生え揃ったあとにワイヤー矯正やマウスピース矯正で治療する必要があるでしょう。
プレオルソの種類と治療できる症例
プレオルソは、症例に応じて3種類のタイプが用意されています。プレオルソの種類は、以下のとおりです。
- タイプⅠ
- タイプⅡ
- タイプⅢ
なお、タイプごとに治療できる症例が異なります。以下に、プレオルソのタイプごとに治療できる症例について詳しく解説します。
タイプⅠ
タイプⅠは、上顎前突や叢生、過蓋咬合の改善に用いられます。それぞれの歯並びについて、以下に詳しく解説します。
上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上顎前突とは、いわゆる出っ歯と呼ばれる状態で、上の前歯が下の前歯よりも前に突出している状態を指します。
上顎が大きすぎたり、逆に下顎が小さすぎたりすると出っ歯になることがあります。また、指しゃぶりや口呼吸、舌で前歯を押す癖などが原因で出っ歯になることもあるでしょう。
出っ歯になると、前歯で食べ物を噛めなくなったり、口が閉じられなくなったりすることがあります。見た目にも影響を及ぼすため、早いうちに治療を受けることが推奨されます。
叢生(そうせい)
叢生とは、歯が凸凹して正しく並んでいない状態で、乱ぐい歯とも呼ばれます。歯のサイズが大きかったり顎が小さく歯が並ぶスペースがなかったりすると叢生になることがあります。
叢生になると、歯と歯が重なる部分に食べかすなどの汚れが溜まりやすく、歯ブラシも届きにくいため、虫歯になるリスクが高まります。
過蓋咬合(かがいこうごう)
過蓋咬合とは、奥歯を噛み合わせた際に、上の前歯が下の前歯を過度に覆い隠してしまう状態で、ディープバイトとも呼ばれています。上下の顎のバランスが悪かったり、歯の生え方・大きさに問題があったりすると過蓋咬合になることがあります。
過蓋咬合になると、上の前歯が下の前歯に覆い被さっている状態になることから、下顎の動きが制限されます。これによって顎関節に負担がかかると顎関節症を引き起こすリスクが高まります。また、咀嚼しにくくなることから、胃に負担がかかることも考えられるでしょう。
タイプⅡ
タイプⅡは、開咬の治療に用いられます。
開咬とは、奥歯を噛み合わせたときに上下の前歯に隙間がある状態で、オープンバイトとも呼ばれています。骨格に問題があって開咬になることもありますが、指しゃぶりや舌で歯を押す癖などの悪習癖が原因で開咬になる場合もあります。
開咬になると、前歯が噛み合わず、隙間がある状態のため、空気がもれて発音しにくくなったり、食べ物を噛みにくくなったりします。
タイプⅢ
タイプⅢは、反対咬合の治療に用いられます。
反対咬合とは、下の前歯が上の前歯よりも前に突出している状態のことで、受け口や下顎前突とも呼ばれています。骨格に問題があって反対咬合になるケースもありますが、舌で歯を押す癖や下顎を前に突き出す癖によって反対咬合になるケースもあります。
反対咬合になると、サ行やタ行の発音がしにくくなったり咀嚼しにくくなったりします。下顎が前に出ていることで、見た目にコンプレックスを抱く方もいるでしょう。
プレオルソの種類の選び方
上述のとおり、プレオルソには大きく3つの種類があり、タイプによってはサイズや硬さ(ソフト・ハード)が異なるものもあります。この中から、お子さんのお口の状態に合ったものを選択します。
ただし、お子さんに合ったものを選択するためには専門的な知識が必要になるため、必ず歯科医師に相談してください。
歯列の凸凹を改善する場合にはタイプⅠ、受け口を改善する場合にはタイプⅢというように、症例に合ったものを選択しますが、顎や歯の発育状況も考慮する必要があります。また、お子さんのお口に合ったサイズや硬さのものを選ぶためにも、歯科医師の指導が欠かせません。
プレオルソは専門的な診断に基づいて選ぶことで、効果的な治療結果が期待できます。適切な治療プランを立てるためにも、まずは歯科医院で相談しましょう。
まとめ
プレオルソは、子どもの歯並びを自然に整えるための柔らかいマウスピース型矯正装置です。
見た目の改善だけでなく、正しい噛み合わせや発音のサポート、健康的な顎の成長を促すことが期待できます。また、装置の着脱が簡単で装着時間も短いため、子どもにも負担が少ない点が特徴です。
効果を最大限に引き出すためには、治療開始のタイミングや日々の装着習慣が重要です。プレオルソを使用した治療は、専門的な診断と指導のもとで進める必要があります。お子さんの歯並びにお悩みの方は、一度歯科医師に相談してみてはいかがでしょうか。
小児矯正を検討されている方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。
当院では、小児歯科を中心に成人の一般歯科や矯正治療なども行っています。診療案内はこちら、ご予約も受け付けております。