小児歯科は何歳から何歳まで通える?小児歯科で行う診療内容とは?
2023年07月13日(木)
こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。
小児歯科は、一般的に乳歯が生えた頃から中学生頃までが対象とされています。永久歯がすべて生え揃い、顎の成長が終わるのが中学生頃だからです。
しかし、歯科医院や治療の状況よっては、高校生頃までを対象とする場合もあります。
今回は、こどものお口のトラブルや小児矯正で行う診療内容などを解説します。
目次
小児歯科は何歳から何歳まで通える?
小児歯科は、乳歯が生え始める時期から中学生頃までを対象とするのが一般的です。
しかし、年齢による明確な制限はありません。あくまでも目安であり、厳密には個々の歯や顎の成長状態によって変動します。
小児歯科における治療のポイントは、こどもの成長段階に合わせてアプローチすることです。永久歯がすべて生え揃って顎の骨の成長が終わると、大人と同じ歯科治療が可能となり、小児歯科の対象から外れます。通常、永久歯が生え揃い、顎の成長が終わる時期は中学生頃とされているのです。
小児歯科の対象については、高校生頃、あるいは18歳までを対象にしている歯科医院もあります。
こどものお口トラブル
乳歯や生えたての永久歯は、歯がまだ未熟であることから虫歯になりやすいです。また、口呼吸などの癖は、歯並びを悪化させる原因といわれています。
虫歯になる
こどもの口腔内のトラブルとしてよくみられるのが虫歯です。
虫歯は、放置すると歯の組織を破壊して痛みや歯の欠損を引き起こします。食後に口腔内に残った食べかすを分解する際に生じる酸によって、虫歯が引き起こされます。酸は歯の表面を腐食し、穴をあけるのです。初期の虫歯は自覚症状がほとんどなく、こどもは症状をうまく伝えられないことも多いため、見逃されることが多いです。
こどもの場合、乳歯が虫歯になると進行が速い傾向があります。乳歯の虫歯を放置すると、永久歯への影響や口腔内の感染症、全身への影響も考えられます。そのため、定期的な歯科検診や日々の正しいブラッシングが非常に重要です。定期的なフッ素塗布やシーラントなどの予防処置も、虫歯の発生を抑えるのに効果的でしょう。
口呼吸になる
通常、人は鼻で空気を吸い込み、鼻腔の毛細血管で温めて肺に送るのが自然な呼吸の仕方です。
しかし、何らかの理由で鼻呼吸が困難な場合、口で空気を吸う口呼吸になるでしょう。特に、鼻炎やアレルギー、扁桃腺の肥大などによって鼻が詰まりやすいこどもは、口呼吸になりやすいです。長期間口呼吸を続けていると、口が開いた状態が習慣化し、顔面の成長に影響を及ぼすこともあります。具体的には、上顎が狭くなる、顎が後退するケースが挙げられます。
口呼吸は、唾液の分泌量を減らすため口内環境が悪化し、虫歯や口臭の原因となることもあります。口呼吸の習慣がついた場合、歯科医師や耳鼻咽喉科の医師と連携して治療を行い、正しい呼吸方法を身につけることが重要です。
永久歯が正しく生えない
永久歯は乳歯の歯根を吸収して生えてくるので、通常は乳歯の真下から生えてきます。
しかし、永久歯が乳歯の内側から生えてくるなどの問題が生じることがあるのです。例えば、乳歯が早く抜けてしまった場合や乳歯がなかなか抜けずに残った場合は、永久歯の生える位置や角度が適切でなくなり、歯並びが悪くなることがあります。
また、歯の大きさや顎の大きさが不釣り合いであると、永久歯が生えきれずに埋まってしまう「埋伏歯(まいふくし)」という状態になることもあるでしょう。
小児歯科で行う診療内容
小児歯科で行われる治療は、虫歯治療や予防歯科、小児矯正などです。それぞれの診療内容について詳しく解説します。
虫歯治療
小児歯科での虫歯治療は、大人の治療と同じく、虫歯の進行具合に合わせて治療法を変更します。
虫歯の初期段階では、予防対策を重視した治療を行います。こどもへの適切な歯磨きの指導やフッ素塗布をすることで、虫歯の進行を抑制し、さらなる虫歯の予防にも有効です。
虫歯が進行し歯質が侵食されている場合は、侵食された部分を取り除き、詰め物や被せ物で修復します。歯の形状を保つとともに、新たな虫歯の発生を防ぐ効果が期待できるでしょう。
虫歯が進行して歯がほとんど溶けている場合は、抜歯を行うこともあります。特に、乳歯で虫歯が進行している場合は、将来生えてくる永久歯への影響を考慮し、抜歯を行うことが多いです。
乳歯の抜歯
通常、乳歯は自然に抜け落ち、下から永久歯が生えてきます。
しかし、重度の虫歯がある場合や永久歯の生え方に問題がある場合は、乳歯の抜歯が行われることがあります。乳歯は表面のエナメル質が柔らかいため、虫歯の進行が非常に速いです。虫歯は永久歯に影響を及ぼす可能性があるため、永久歯を守るために抜歯を行うのです。
乳歯は永久歯の生える位置を誘導する役割も果たしています。そのため、早期に乳歯を抜歯する場合は、永久歯が正しく生えてくるスペースを保つために、保隙(ほげき)装置を使用します。保隙装置は、永久歯が正しい位置に生えるように促し、歯並びの悪化を防ぐことが可能です。
永久歯の生え方に問題がある場合にも、乳歯の抜歯が行われます。何らかの原因で永久歯が乳歯の内側、外側、あるいは側面から生えてくる場合があります。永久歯の生え方に問題がある状態を放置すると、歯並びが悪くなる可能性があるからです。
フッ素塗布
フッ素塗布は、小児歯科における重要な虫歯予防法の一つです。
フッ素は、歯の再石灰化作用を促し、虫歯菌が産生する酸に対する抵抗力を強化する役割を果たします。再石灰化とは、虫歯が始まった初期段階で、ミネラル(主にカルシウムとリン)が歯に戻る自然な過程のことをいいます。再石灰化が正しく行われることで、初期の虫歯は進行を止め、修復することが可能です。
フッ素塗布とは、高濃度のフッ素が含まれたジェルを歯の表面に塗布することです。歯が強化され、酸による脱灰を防ぐことができます。歯を削る必要はなく、痛みや不快感が伴わないため、こどもでもストレスなく受けることができるでしょう。フッ素塗布は、乳歯だけでなく永久歯にも有効な予防処置であり、定期的に行うことで効果を最大限に引き出せます。
シーラント
シーラントは、小児歯科で行われる虫歯予防の一つで、特に乳歯の奥歯において有効です。
奥歯の噛む部分には、食べかすや歯垢(プラーク)が溜まりやすい複雑な溝が存在します。虫歯菌が溝に定着すると歯質を溶かし、虫歯を形成する可能性があるのです。
シーラントでは、溝が深い部分にプラスチックのような材料を充填し、歯の表面を平らにします。複雑な溝を平らにすることで、食べかすや歯垢の蓄積を防ぎ、清掃性を向上させる効果があります。
フッ素塗布と同様に、シーラントも歯を削る必要がなく、こどもたちが痛みや不快感をおぼえることはないでしょう。定期的な治療により、虫歯の発生を効果的に予防することが可能です。
ブラッシング指導
小児歯科では、歯科衛生士がブラッシング指導を行います。こどもの口腔内の状態、年齢、歯並びなどによって最適な歯磨き方法が変わるため、こどもに合わせた指導を行うのです。
歯科衛生士は専門知識を用いて、個々に合った具体的な歯磨きの手順や技術を提案します。保護者の方が仕上げ磨きの方法について不安を抱えている場合や、どのようにこどもに歯磨きを教えるべきかなどの疑問を持っている場合は、相談するとよいでしょう。歯科衛生士はそれぞれの質問に対して具体的でわかりやすい指導を行います。
ブラッシング指導は、虫歯や歯肉炎などの予防に非常に効果的です。早い段階で正しいブラッシングの技術を身につけることで、こどもの口腔内の健康維持に大きく貢献するでしょう。
小児矯正
小児歯科で行われる小児矯正は、第1期治療と第2期治療に分けられます。
第1期治療は、骨の成長を利用した骨格矯正を行う段階で、永久歯がすべて生え揃う前に開始します。具体的には、顎を広げてガタガタした歯並びを整える床矯正などが挙げられるでしょう。1期の治療により、将来的に永久歯を抜歯せずに矯正できる可能性が高まります。歯並びを悪くする指しゃぶりや頬杖などの癖の改善指導も行われるでしょう。
第2期治療は、永久歯が生え揃ったあとに行われる歯科矯正です。第2期治療は、大人の矯正と同様に、固定式または取り外し式の矯正装置を使用して歯列を整えます。第1期治療で適切な骨格が形成されていれば、比較的手間をかけずに歯列を整えることが可能です。
しかし、第2期治療では顎の骨の成長が終わっているため、顎の骨の大きさに対して歯の数が多い場合や歯が大きい場合は、抜歯が必要になることもあります。基本的には第1期治療と第2期治療を連続して行いますが、どちらか片方の治療だけで歯並びを整えられるケースもあります。
こどもが歯医者を嫌がるときはどうしたらいい?
こどもが歯医者に行くことを嫌がるのは自然な反応です。歯を削られる、息苦しい思いをする、痛みを感じるなどの可能性があるからです。大人でも苦痛を感じる歯科医院での体験は、こどもにとっては耐え難いものといえるでしょう。
嫌がるこどもを歯医者に連れて行く際は、リラックスできる状態にしてあげることが重要です。具体的な対策は、以下のとおりです。
午前中に歯科医院に行く
こどもの体調がよい場合が多い、午前中に歯科医院に行くとよいでしょう。
昼寝のタイミングや夕方の時間帯は機嫌が悪くなるこどもが多いです。眠さや空腹感のない午前中に歯科医院に行くことで、嫌がらずに治療を受けられる可能性が高まるでしょう。
嘘をつかない
「歯を見るだけ」「痛くない」などと伝えて歯科医院に連れて行くと、実際に治療を受けたときに、こどもが思っていたより怖い、痛いと感じる可能性があります。痛みや不安を感じたことと、嘘をつかれたショックから、さらに歯科医院を嫌がるかもしれません。
こどもの歯を守るために必要なことであると説明し、嘘をつかずに歯科医院に連れて行きましょう。治療が終わったあとは必ず褒めてあげてください。
待合室ではリラックスできるように過ごす
小児歯科を行っている歯科医院では、キッズスペースが設けられていることが多いです。絵本を読む、おもちゃで遊ばせるなど、リラックスできるように過ごしましょう。
保護者の方も過度に心配せず、怖い場所ではないことを伝えてあげると安心して治療を受けられる可能性が高いです。
まとめ
小児歯科に明確な年齢制限はありませんが、永久歯がすべて生え揃い、顎の成長が終わる中学生頃までを対象とする歯科医院が一般的です。治療の状況によっては、高校生まで対象になることもあるでしょう。
小児歯科の診療内容として、虫歯治療や予防歯科、小児矯正などが挙げられます。特に、乳歯や生えたての永久歯は歯質が弱く、虫歯になりやすいです。虫歯の進行スピードが速いことも特徴です。フッ素塗布やシーラントなどの予防歯科を行うとよいでしょう。
歯を削らないフッ素塗布やシーラントは痛みを伴いませんが、受診をストレスに感じるこどももいます。歯科治療では大きく口を開けなければならず、器具による特有の音が恐怖心を煽ることもあるでしょう。こどもが歯科治療に前向きに取り組むためには、保護者の方の協力が必要不可欠です。受診の際は嘘をつかず、治療後は褒めるなど、こどものメンタルケアを大切にしてください。
小児歯科を探している方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。