学校の歯科検診で指摘される「要注意乳歯」とは?治療の必要性も解説
2023年11月04日(土)
こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。
学校では、毎年春頃になると歯科検診が行われます。お子さんが持ち帰ってきた検診結果の用紙を見て「要注意乳歯って書いてあるけどなんだろう?」と疑問に思った保護者の方もいるのではないでしょうか。
今回は、学校の歯科検診の項目の一つである「要注意乳歯」について解説します。要注意乳歯とはどのような状態なのか、指摘されたらどうしたらよいのかなど、わかりやすく説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
要注意乳歯とは?
要注意乳歯とは、これから生えてくる永久歯の歯並びなどに影響を与える可能性のある乳歯のことです。簡単に言うと、抜歯したほうがよい乳歯を指します。学校の歯科検診で指摘される項目の一つです。
学校の歯科検診は、学校保健安全法に基づき毎年4〜6月の間に行われます。これはあくまでスクリーニングであり、精密検査ではありません。
検診結果の用紙に要注意乳歯と書かれていると「虫歯になりそうな歯のことかな?」と勘違いされる方もいるかもしれません。
しかし、要注意乳歯は虫歯のリスクがある歯ではなく「歯科医院で診てもらってください」という意味があります。先ほど要注意乳歯は抜歯したほうがよい乳歯であると述べましたが、具体的にはどのようなケースなのでしょうか。
要注意乳歯にチェックがつく状態として、以下のようなことが挙げられます。
- 乳歯が抜けていないのに、永久歯が生えてきている
- 永久歯が明らかに異常な位置から生えてきそうである
- 乳歯がグラグラと大きく揺れている
- 乳歯がきれいに抜けていない
- 乳歯が明らかに抜けずに残っている
それぞれ詳しく解説します。
乳歯が抜けていないのに、永久歯が生えてきている
本来であれば、乳歯が抜けたあとに永久歯が生えてきます。
しかし、まれに乳歯が抜ける前に横やうしろから永久歯が生えてくることがあります。放置すると永久歯の歯並びに影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
永久歯が明らかに異常な位置から生えてきそうである
まだ永久歯が生えてきていなくても、明らかに曲がって生えてきそうなどの徴候がみられることがあります。乳歯が邪魔をしていると判断されると、要注意乳歯と指摘されるのです。
乳歯がグラグラと大きく揺れている
乳歯がグラグラしている状態は、特に問題がないように感じる方も多いでしょう。
しかし、ぐらついた状態が続くと、歯茎に炎症が起こって痛みが出る場合や腫れる場合があります。痛みや腫れによって、食べ物が噛みにくくなる、また歯磨きがしにくくなると、さまざまなリスクが考えられます。また、食べカスがたまりやすいなど、虫歯や歯周病の原因にもなり得るのです。
乳歯がきれいに抜けていない
乳歯は永久歯と比べるとやわらかいです。そのため、抜けるときに割れて、歯肉に歯の根っこの部分が残ることがあります。永久歯は乳歯を溶かしながら生えてくるため、基本的には残った歯の根っこも溶かされます。
残っている乳歯の根っこが大きい場合や、痛みや腫れがある場合には、早めに歯科医院を受診しましょう。
乳歯が明らかに抜けずに残っている
基本的に、乳歯は5歳頃から抜け始め、中学校に入る頃までには永久歯に生え変わります。
しかし、なかには大人になっても乳歯が抜けずに残っているケースもあります。永久歯が成長して生える準備が整うことで、乳歯が抜けるというのが通常の流れです。つまり、永久歯が育たなければ、乳歯も抜けません。
永久歯の成長が遅い場合や、骨に埋まったまま生えてこない場合には、乳歯が抜けずに残ることがあるのです。
歯科検診でのチェック項目は?
ここで、歯科検診でチェックされる項目について簡単に見ていきましょう。
歯科検診では、主に以下の項目を確認します。
- 歯の状態
- 歯肉の状態
- 歯垢の有無
- 顎関節症の有無
- 歯並びの状態
それぞれ詳しく解説します。
歯の状態
虫歯の有無や形態の異常の有無、抜歯したほうがよい乳歯の有無を確認します。
虫歯の有無は「う歯」と書かれていることもあります。乳歯の虫歯ではあまり痛みを感じないこともありますが、進行が早いため速やかに歯科医院を受診しましょう。
歯肉の状態
歯肉炎の有無を確認します。歯肉炎は、歯茎の腫れによって診断されます。腫れが軽度であれば、経過観察になることも多いでしょう。
腫れの範囲が広い場合や歯石が付着している場合は、歯科検診での指摘対象となります。
歯垢の有無
歯垢はプラークとも呼ばれ、どの程度付着しているかで判断されます。歯垢の付着はきちんと歯磨きができていないということなので、歯科医院で歯磨きの正しい方法を教えてもらいましょう。
顎関節症の有無
顎に痛みがある場合や口を開けられない場合には、顎関節症が疑われます。学校の歯科検診では、将来的に顎関節症になる可能性があるときにお知らせが来るでしょう。
歯並びの状態
歯並びや噛み合わせの状態に注意が必要な場合にも、お知らせが来ることがあります。
ただし、必ずしも矯正治療をしなくてはいけないということではありません。学校の歯科検診は、治療が必要なこどもと必要ではないこどもを分けるために行われます。
口の中を見て少しでもあやしいところがあった場合に、歯科医院の受診を促すのが目的です。早めに歯科医院を受診することで、重症化を防ぐことにもつながります。いずれの項目で指摘されたとしても、まずは歯科医院を受診して歯科医師に相談することが大切です。そのうえで、今後の治療について決定していきましょう。
学校からもらってくる検診結果の用紙には、歯科医師がどのような処置をしたのか記載する欄があります。歯科医院を受診する際には忘れずに用紙を持参し、治療後、歯科医師に必要事項を記載してもらいましょう。
要注意乳歯と指摘されたら治療が必要?
要注意乳歯と指摘されても「虫歯じゃないならそのままでいいのでは?」「放っておいてもそのうち抜けるのでは?」などと思う保護者の方もいるかもしれません。
しかし、要注意乳歯は、このあと生えてくる永久歯に影響を及ぼす可能性が高いです。つまり「放置してはいけません」というメッセージが込められています。
特に、下から永久歯が生えてきているのに乳歯がなかなか抜けない場合には、歯がスムーズに生え変わらない恐れがあります。無理に自分で抜こうとすると、乳歯の根っこの部分が折れて残ったままになることも考えられます。要注意乳歯と指摘された場合には、速やかに歯科医院を受診しましょう。
要注意乳歯の治療として、主に行われるのは抜歯です。なかにはそのまま自然に抜けるのを待つこともありますが、抜歯になるケースが多いでしょう。
歯科医院では、まずレントゲン検査で永久歯の状態を確認します。永久歯がどのくらい成長しているかを見るためです。レントゲン検査の結果によって、抜歯をするかどうか検討されます。
抜歯と聞くと不安に思うかもしれませんが、乳歯の抜歯は短時間で終わることがほとんどです。麻酔をするため、むしろ自分で無理に抜こうとするよりも痛みを抑えられます。
まとめ
今回は、学校の歯科検診で指摘される要注意乳歯について解説しました。
要注意乳歯とは虫歯になりそうな歯ではなく、永久歯に影響を及ぼす可能性の高い乳歯のことです。対処法としては、多くのケースで抜歯が行われます。特にグラグラしている場合には「放っておいてもいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、これから生えてくる永久歯のためにも歯科医院を受診し、状態を確認してもらいましょう。歯科医院で適切な処置を受けることで、お子さんのお口の健康を守ることができます。
なお、学校の歯科検診はスクリーニングであって精密検査ではありません。要注意乳歯などの指摘を受けたら速やかに歯科医院を受診しましょう。
お子さんが要注意乳歯と指摘を受けた方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。